【フィルムカメラレビュー】小さくても写りは本格派!デラックスでコンパクトなOLYMPUS 35DC
こんにちは「Kio」です。
ちょっと前の16㎜フィルムカメラから続いている「ちっさいカメラブーム」はまだまだ僕の中でアツく燃え盛っている。
この記事を書いている今も、身体の中から熱が感じられる位だ!!!
うん。
単純に気温が高くてそう思ってるだけかもしれない。
「ちっさいカメラ」といえば所謂「コンパクトカメラ」
- ローライ35
- オリンパスペンシリーズ
- ペトリカラー35
等はこのブログでも紹介して来たし、度々登場するが、今回紹介するカメラはこちら。
【OLYMPUS 35DC】
今日はこのカメラのレビューを書いて行こうと思っている。
是非最後までご覧ください。
OLYMPUS 35DCについて
このカメラ実は2代(台)目。
手軽に撮影したい時に持ち出したくなるお気に入りのカメラの一つなんだ。
オリンパス 35DCについて、オリンパスの公式によると
- 発売は1971年4月(54歳)
- DC=デラックス(D)な、コンパクト(C)の略で、小型高級カメラという位置づけ
- 当時の販売価格は26,800円
暗い被写体から高輝度の被写体まで、どんなシーンでも簡単撮影を実現するプログラム自動露出システム。ストロボ使用時にもプログラムオート撮影が可能な世界初の自動フラッシュマチック機構や逆光補正機能も搭載。「使いやすくて、間違いなくよく写るカメラ」として人気を集めました。
とある。
OLYMPUS 35DCには後期型もあるようだが、今回紹介するのは初期型となっている。後期型はバッテリーチェックボタンが追加されたり、シャッターボタンが、プラスチック製に変更されたりしているが、基本的な性能は変わらない。
1971年当時の大卒初任給が約47,000円位だったようで、翌年1972年発売のOM-1が39,500円(ボディー&ケース)だったので、コンパクトにしては結構高いカメラだったみたい。
それにしても「DC」がデラックスでコンパクトの略なのはちょっとくすっと笑える。
その他特徴、スペック
- 撮影距離は85cm~∞、パララックス補正枠付き二重像合致式レンジファインダー
- 順算式、自動復帰式のフィルムカウンター
- ISO設定は25~800と一般的な使用では困る事は無い
- 重量は実測値ボディーのみで498gとコンパクトだが結構ずっしりと来る
- SEIKO機械式プログラムシャッター搭載で、SS1/15~1/500、F1.7~F16 EE自動制御のみでマニュアルは不可
- F1.7、SS1/15以下の時はシャッターロックが掛かるが、底面右下「F」ボタンを押しながらシャッターを押し込むと強制的にシャッターが切れる
- ホットシュー搭載、軍幹部後ろのダイヤルで使用ストロボのGNを設定する事でピント距離に合わせて自動的に絞りなどが制御され、ストロボ取り付け時は自動露出機能はカットされる。
- 分割巻き上げ可能で、シャッターボタン半押しで露出ロックが掛かる
- レンズはF.Zuiko 40mm F1.7と6枚玉
- 背面BLCボタンで+1.5段の露出補正(使う場合は押しながらシャッターを切ろう)
- 電池が無いと動かず、電池には1.35V MR-9型水銀電池を使用する(アダプターや代替電池で動作する)
- フィルター径は49mmと多くのOMシステムレンズと同じ
- 専用のカブセ式フードがあるが結構レア
と、電池が無いと動かなく、ピント合わせをした後は基本全てカメラ任せで使えるカメラ。
尚シャッター音は低速側は「シュコ~ン」、高速は「シュコン」といった感じでちょっと情けない(好きな人いたらゴメンナサイ)オリンパスPEN-EEDと同じ様な音がする。
外観や各部機能説明
外観写真を見ながら各種レバー、ボタン、ダイヤル等の機能を説明する。
このカメラ何回も言うが電池が無いと何も出来ないカメラ。
フィルムを装填してISO感度を設定さえすれば後は特に難しい操作も無いし、ピントを合わせるだけで写真がサクサク撮れる。
作例
スペックや各種ボタンなどの使い方は見て貰ったが、実際このカメラを使って完全フルオート(オートしか使えないけどね)で写真を撮って来た。
フィルムはMARIX 400
現像処理はMX-T2 stock 22℃ 9´30(30/60/3)Y2フィルター使用。
作例は多め。
コンパクトだけど写りは良いぞ!
写真を見て貰ったが、完全フルオートにしてはかなり優秀な写り。
晴れていて、イエローフィルターを付けていたとしてもISO400のフィルムなので多くの写真はF11~16付近だったとは思うが、小さくてもレンジファインダーなだけあり、ピントをしっかり合わせて撮影する事が出来るのでかなりシャープに写っている。
空が多くを占める被写体の場合はやはり空に露出が引っ張られるので「BLC」ボタンを押しながら+に露出補正をかけた方が良い場合もるし、シャッター半押しで露出(絞り値とシャッタースピード)がロックされるので撮影したい場所にレンズを向け半押しで任意の露出でロックしてから空等を入れて構図を決め直しても良いだろう。
ただ、フルオートなのであまりカメラ操作の楽しみは薄いのがたまにキズではあるが、路地や、暗い所、木の間からの木漏れ日等でも自動露出は安定してしっかり写ってくれている。
うんうん、オリンパスが「小型高級カメラ」と謳っているのも納得できる良い写りだ。
そして、やはりオリンパスのZUIKOレンズはとても素晴らしい描写だね。
今回はモノクロでの撮影だったけど、このレンズはカラーでもとても良い写りなので今度是非皆さんにお届けしたいと思っている。
中古相場、購入の際の注意点
今年で53歳のこのカメラ。
勿論購入する際は中古で買うしかない。
35DCは簡単に撮れるからか、フィルムカメラを始めたばかりの方にもおススメ出来るが、ちょっと中古相場はお高めな印象。
フリマサイト等では動作未確認の物で7,000~10,000円近くで販売されていて、動作品で10,000~20,000円位な感じ。
マメに探していると3,000円位で出てる時もごくまれにある。
店舗での購入だと大体25,000円~30,000円位が相場の様だ。
35DCを購入する際に注意して欲しい点は
- 二重像が薄くなっていないか?縦ずれや横ずれは無いか?
- 電池を入れ、しっかり露出計が動き、シャッターが切れるか?
- ファインダー内に表示されている絞り値、シャッタースピードの値はある程度適正で、シャッタースピード、絞りも変化しているか?
- 絞り羽根に油シミ等出ていないか?
- レンズはクリアか?
どうしてもこの時代の物は露出計の素子が弱っていてやたらとアンダー、オーバーになる個体も多くあり、完全オートという特性上露出が狂っているのは頂けない。
可能であれば露出が適正に表示されているかは確認してから購入した方が良い。
よほど安い値段で動作未確認が出てるなら遊びや研究用に買ってもいいかもしれないが、少し高くなってもちゃんと使って行きたいなら少なくとも実写確認済みや、店舗で保証が付いている物がおススメ。
更に、電池の形状が特殊で入手性も余り良くないのでそちらも注意した方が良いだろう。
こちらはMR-9互換の1.5Vアルカリ電池。
こちらはSR43とセットで使う1.35Vに電圧を変換するアダプター。少し高いが本来の電圧で使えるのでこちらも良いと思う。
この辺りのMR-9互換電池やアダプターはこの時代のカメラでは使われている頻度も高いので一つ持っていても良いと思う。
電池を入れないとシャッターが切れないが、電子式シャッターでは無く、機械式のプログラムシャッターなので、露出計が無事なら修理自体は可能だろう。
案外丈夫だが、フィルムカウンター不良と、縦ずれを起こした事はあり、その際はトップカバーを分解する必要があるが、セルフタイマーが取り付けてあるネジは「逆ネジ」なので注意して欲しい!!
因みに横ずれは写真の飾りネジを外すと距離計横ずれ調整用のネジが見えるので簡単に調整する事が出来る。
最後に
デラックスでコンパクトなフィルムカメラ「オリンパス35DC」のレビューを書いてみた。
実際このカメラを使っていて不便(不満)な点も勿論あり
- 低速シャッターが切れない
- フルオートしか使えない
- 最短撮影距離が85cmと寄れない
- 見た目に反して重いw
- 電池が無いと只の重りと化す
等はちょっと不満点ではあるが、それ以上にZuikoレンズの素晴らしい写りと、露出計、シャッターが正確ならEEもかなり頑張ってくれるし(ネガフィルムの広いラチチュードなら十分実用)、巻き上げも軽く軽快で、レンジファインダーなのでピントもバッチリと、簡単に誰でも使える見た目も小さくデザインも良いカメラだと思う。
皆さんも良いオリンパス35DCに出会えれば是非使って欲しいカメラだ。
最後まで見て頂きありがとうございました。