モノクロ現像を始めよう~③現像実践編~

この記事ではモノクロ現像の手順を説明しています。

まずは別記事の「モノクロ現像を始めよう~①道具準備編~」と「~②フィルムをリールにセットする~」「現像データの読み取り方、撹拌について」をご覧になってください。

もう知ってる方や、読んだよという方は次の項目へどうぞ。

モノクロ現像の手順

現像をするにあたって以下6つの工程があります。

  1. 下準備
  2. フィルムを現像タンクにセット
  3. 現像
  4. 停止
  5. 定着
  6. 水洗い
  7. 乾燥

以下各手順を説明していきたいと思います。

~1.下準備~

まずは下準備からです。

ここでは主に薬品の準備を中心に説明していきます。

必要な道具を準備します。

  1. フィルムをセットした現像タンク
  2. ボトルやビーカー保温用のバット
  3. 水温計
  4. ゴム手袋
  5. 現像液
  6. 停止液
  7. 定着液液
  8. FUJIFILM QW
  9. FUJIFILM DW

現像液は原液を使う分量(400cc1:1なら原液200cc、水200ccで計400ccにしておく)を用意。定着液、停止液等他の薬品も必要量を最初に小分けしておくと楽。

この内特に現像液はビーカーやペットボトルに必要量を分けたものを、お湯や水を張ったバット等に漬けておき液温が21℃〜22℃位になるようにしておく。

〜2.フィルムを現像タンクにセット〜

モノクロ現像を始めよう〜②フィルムをリールにセットする〜」に詳しく書いてありますのでご覧ください。

〜3.現像〜

ここで現像作業に入ります。

※薬剤を扱う前にゴム手袋等をした方が良いかと思います。あと台所等で行う際は食品、食器等に薬剤がかからないよう注意してください。

「〜1.下準備〜」にて用意した薬品類の温度を再確認。ここで規定の温度(基本は20℃)でなければ水やお湯を張ったバット等に漬けて微調整。

使用フィルムと現像液の組み合わせで現像時間を決めます。

(例)ここでの説明はKODAK Tri-X400とD-76 1:1基本現像時間は10’00(30/60/4)として説明します。

では現像スタートです。

の前に、初めての方はこちらをご覧ください。

もう見たよ!という方や、わかる方は今度こそ現像スタートです!

1:タイマーをセットして現像タンクに現像液を注入(10秒位で素早く)

2:初期撹拌30秒終わったらタンクの底を「コンコン」とシンク等を軽く叩き気泡を抜く(基本は30秒程度がオススメ)この時点でタイマーは30秒

 初期撹拌後0’30→1’20まで待つ

3:初期撹拌後60秒毎に10秒で4回の倒立撹拌。

 1’20→4回の倒立撹拌1’30 4回の倒立撹拌後毎回コンコンとタンクを打ち付け気泡を取る

 2’20→4回の倒立撹拌2’30

 3’20→4回の倒立撹拌3’30

 4’20→4回の倒立撹拌

上記のようにこれを規定時間まで繰り返す。

4:規定時間の10秒前(9’50)になったらタンクから現像液を排出(排出時点で大体規定時間になる)

〜4.停止〜

現像液排出後停止の工程へは素早く移行すること。ここでもたつくとどんどん現像が進みます。

用意しておいた定着液をタンクに入れ30秒〜60秒連続撹拌。その後停止液は下水に多めの水と一緒に流してよい。

ここまで終われば完全に反応が停止しているので急がなくても良い。

※ここではまだタンクの上蓋のみしか外してはダメ。厳密にはこの時点で開けても大丈夫だけど、次の工程でも撹拌をするのでタンクは開けず作業した方が楽です。

〜5.定着〜

用意しておいた定着液をタンクに入れ60秒の初期撹拌。

その後規定時間まで60秒毎に10秒の倒立撹拌を行う。

定着液が新鮮なら時間は5’00から始めて2本毎に15秒づつ増やしていき20本程度までなら定着液の再利用が出来ます。

細かくいうと、使うフィルムの切れ端を定着液に漬けて完全にベースの色が抜けるまでの時間を測り、その2倍の時間を定着時間とすればよいが、面倒な場合は上記の方法でも大丈夫。

定着が終わったら定着液をビーカーやボトルに戻す(再利用するため)

※定着まで終われば、現像タンクの蓋を開けて中身を確認しても大丈夫です。

フィルムのベースがしっかり透明になっていたら次の工程へ、まだ透明になっていなければ定着をもう一度やれば良い。

余り大きな声では言えないですが、この「定着」の工程は絶対必要ではありますが案外アバウトに攪拌しても何とかなります、、、

~5.水洗い~

この時点でフィルムのベースの色が透明に抜けていて、フィルムに写真が写っていれば現像は成功です。

次は水洗い促進剤の富士フィルムのQWを使います。

QWに定着液を残したくないのでまずは水を入れ替えながら30秒の倒立撹拌を2セット行います。

その後QWをリールが隠れる位入れて60秒程待ち、QWをボトルに戻します。

60秒経ったらQWをボトルに戻し水をちょろちょろ細く出しっぱなしにしながら10分間水洗いをします。

QWは青い色をしていますが、この色が使っていくと薄くなってきますので薄くなるまでは再利用出来ます。

QWを使用しない場合は60分程水を細く流しっぱなしで水洗い。

~6.乾燥~

最後に水切り剤富士フィルムドライウェルをリールが隠れる位入れて秒待ち、ボトルに戻す。

このDWも再利用可能ですが余り高く無いですし、一回ごとに破棄してもいいと思います。

その後リールを振り、水気を切ってからフィルムクリップなどを上下にはさみ吊るして干します。下は少し重くないとフィルムがクルッと巻いてしまいます。

※この時なるべくほこりが少ない場所、風呂場等で干すとよいでしょう。

夏なら2時間程度、冬でも5~6時間もあれば乾燥すると思います。乾燥したかどうかは干したフィルム下部のフィルム裏面を軽く触ったときサラサラしていれば大丈夫です。ある程度水気が切れたらドライヤーで乾かすという力業もありますが、ほこりが付いてしまうので、緊急時以外はおすすめしません。

現像完了

お疲れさまでした。ここまででフィルムの現像は終了です。

この後はネガを切り分けてお近くの写真店でデータ化やプリントしていただくか、自宅にフィルムスキャナーある方はスキャンをするなりすればOKです。

まとめ

どうでしたでしょうか?ほぼ文字のみでの説明でしたがこの通りやれば「モノクロ自家現像」は結構簡単にできてしまいます。今後この記事も写真を追加したり、もっとわかりやすく随時更新していきます。

自分で現像したフィルムはとても美しく感動すると思います。

※現像液、定着液の廃棄は各自治体によって処理が違いますので、まずはお住いの自治体の水道課に連絡して確認するとよいです。因みに僕の所は個人で出る現像液の量であれば水で薄めて流すか、新聞紙や布にしみ込ませて燃えるゴミで処理して構わないとの事でした。

今フィルムがどんどん高くなっていっている今だからこそモノクロ現像で少しでもコストが抑えられて、フィルム写真の良さを少しでも皆様に伝えられればと思っております。

更にこのモノクロ現像と道具はほぼ共通でカラーネガフィルムの自家現像も簡単にすることが出来ます。

カラーネガフィルムの現像について興味がある方がいれば下記記事を参考にして下さい。

何か不明な点等ありましたらコメントやお問合せフォームよりお知らせ頂ければと思います。

長い記事でしたが最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。

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