【魅惑のハーフカメラ】その10 オリンパスペンS(3.5)レビュー
こんにちは「Kio」です。
前回の記事から続けてハーフカメラネタ!
【魅惑のハーフカメラ】シリーズも10台目の紹介。
前回紹介したカメラはSNSのフォロワーさんからお借りした【ミノルタレポS】で2023年4月なので約一年ぶり、、、、
世の中はペンタックス17の発売でハーフカメラが盛り上がっているけど、買えなかった僕は腹いせに昔からあるハーフカメラ達を紹介していこうと思う。
是非最後までご覧ください。
OLYMPUS PEN-S(3.5)ってどんなカメラ?
今回紹介するカメラはこちら
【オリンパス ペンS(3.5)】
さっきから(3.5)って書いてるけど、実はこのカメラ焦点距離、レンズの明るさで、同じ【PEN-S】という名前のカメラが2種類存在する。
元々初代ペンは1959年にDズイコー28mmF3.5のレンズを搭載したハーフカメラとして登場し、大ブームを巻き起こしたカメラだったが、「少しでも明るいレンズを!!!」という要望に応える形で1960年に発売したのが
【OLYMPUS PEN-S】
このペンSは30mmF2.8と、初代よりやや望遠側に伸び、F値が半段明るくなったレンズを搭載し、絞り羽根が5枚になったり、シャッターユニットも低速1/8~1/250となり、初代ペンの上位機種として発売された。
設計はお馴染み、オリンパスペンの生みの親、「米谷美久まいたによしひさ」氏によるものだ。
しかし、今回紹介する「ペンS」はオリンパスのHPの「ペンシリーズ」一覧には載っていないので色々と調べてみた。
発売は1965年と無印ペンSより5年後の発売。
レンズは初代ペンと同じ、Dズイコー28mmF3.5となる。
レンズ以外のスペックは無印ペンSと基本一緒だかが、一部外観パーツの仕上げや、フィルム巻き取り軸の形状等は違う。
2.8のペンSが初代ペンの上位機種なのに対し、3.5のペンSは初代ペンの正当後継機という位置づけだろう。
但し、年代的に1965年だとペンシリーズでも自動露出が使える「PEN EE」、F1.9の大口径レンズ、1/500のシャッターを搭載した「PEN-D」、世界初のレンズ交換式一眼レフハーフカメラ「PEN-F」等も発売されていて、大分スペック的に見劣りするPEN-S(3.5)は余り売れなかったのか販売台数は結構少な目だったみたい。
しかし、販売台数が少なくともフルメカニカルのシンプルなカメラなので、発売から約60年経った令和の現在でも動作している個体を見つける事はそう難しくなく、値段も特にプレ値が付いていたりはしないので比較的探しやすい部類に入ると思う。
オリンパス PEN-Sのスペック
主な仕様を取り扱い説明書より
- 発売年:1965年
- レンズ:D.ZUIKO 2.8cm F3.5 (4枚構成テッサータイプ)
- 絞り:F3.5~F22 一段毎にクリック有
- シャッター:5枚羽根コパル#000/B、1/8~1/250
- ファインダー:倍率0.5倍 ルミナスブライトフレームファインダー
- フィルムカウンター:手動設定減算式
- ピント合わせ:目測
- 撮影距離:60cm~∞、2m、5mは赤文字でクリックストップ有り、ピントリングを最大まで回転させると1フィート(30.48cm)でピント合わせ可能!
- 裏蓋:ガパッと外れるタイプ
- フィルター径:外側ピントリング部に34mmねじ切り、内側絞り操作部分22.5mねじ切り有
- ストロボ:アクセサリーシュー付き、ボディーのX接点にコードを差し込んで使う
- 露出計:無し
とこんな感じ。
フィルターが外側に34mmのネジが切ってあるが、見聞きした話では米谷さんはライカのサブとしてペンの使用を想定していて、ライカ純正のフードを使えるようにしたとか。
純正のフィルターは内側の22.5mmねじ切り部分に装着し、純正のフードも被せタイプの物が用意されている。
がしかし、この純正フードが本体と同じ位高かったりするので手に入れられてない(;´Д`)
現像データ
使用フィルム:MARIX AirColor 100D
使用カメラ:OLYMPUS PEN-D
使用現像液:MARIX C-41現像液
現像処理:MARIX C-41 37.5℃ 4´15(30/30/4)
スキャン/データ化:VALOI easy35/ライトルームモバイル反転現像
作例
写真をクリックすると拡大
写りの感想と操作感
もう、言葉が無いっす!!!
純正のフードが無いので全てフード無しでUVフィルターをつけての撮影だが、明らかに逆光耐性は今までのハーフカメラ達より高く感じる。
5枚の絞り羽根なので、10本の光条もキレイに出ているし、フレアやゴーストも余り気にならない。
色ノリ、も解像感も申し分なくとても良い写り。
前回のペンDと同じ現像パラメーターで反転現像してるんだけど、大分コントラストが高く出ている気がするが、現像処理のせいかもしれない。
ピントも目測ではあるが、表記上の最短撮影距離60cmでも大きく外さず使えた。
そもそも最速のSSが1/250なので日中であればF8~11まで絞り込んで撮っているので、ピントも5mに合わせて置けば手前2.5m位から∞までパンフォーカスとして使える。
コンパクトだが、重さは約400gとしっかりあるので手振れもそれなりに抑えられるし、シャッター音も雑踏の中では自分で聞こえない位小さいのでスナップが捗る。
操作感としては、SSはボディーとレンズの付け根、ピントはSSより先端側で、使い勝手も悪くないが、絞りがレンズ先端の22.5mmのねじ切りがしてある部分なので頻繁に変えていくのは面倒に感じた、
しかも、ピントを合わせてから絞りを操作すると一緒にピントリングも動いてしまうので、使い方の作法としては
- SSをセットする
- 絞りを決めセット
- ピント合わせ
という順番が使っていて一番使いやすいと感じた。
後は裏蓋がペンDと同じ様に「ガパッ」と外れる仕様になっているので、立ちながらのフィルム交換は厳しく、この外れるタイプのペンシリーズは結構モルトの劣化で裏蓋部分から感光してしまう場合も多いので、モルトはしっかり交換した方が安心して使える。
巻き上げはダイヤル式のペンシリーズ共通の(ペンFシリーズを除く)仕様となっている。
そして、最近気付いたPEN-Sの新事実!ピントの表記が0.6m~∞なんだけど、説明書によると「最大までピントを回すと1フィート(3.048cm)にピントが合わせられます」と書いてある、、、
ずっと「ピント0.6より回るな〜」とは思って使ってたんだけど、記事を書くのに説明書を読み直して今更気付いたんだよね、、、これは言い訳すると説明書が英語だったのでじっくり見てなかったんだ(;´Д`)
この事をXに投稿した所、投稿を見た方からコメントを頂いて、
「昔OLYMPUSに確認したら、30cmまでピントは合うように作っているが、目測精度や、パララックスの問題もあるので0.6mまで保証出来るという事にしている」
と聞いたと教えて頂いた。
当時使っていた方は知っている方もいたかもしれないが、全く知らなかったので今さらながらビックリした。
※情報によると、この1ft(約30cm)まで寄れるのはPEN-S(3.5)のみで、2.8や初代は寄れないらしい。実機を持っていないので比較はできないが、機会があれば実際手にとって確認してみたい。
どっちにしろ約30cmとなると被写界深度もかなり浅くなり、よほど正確に距離を測らないと絞り込んでいてもピンポケ連発してしまうので注意して使って欲しい。
この30cmピントは今後距離計で測って実際に試してみようと思っている。
あとは、操作感とか、写りとは関係無いんだけど、僕はカメラの貼り革交換大好き人間!!
でも、このペンSは裏蓋の貼り革に「OLYMPUS TOKYO」とロゴがスタンプされていてカッコいいので貼り革交換はしないでオリジナルで使っている。
これは絶対張り革を交換させないぞ!!というオリンパス、いや、米谷さんの強い意志を感じる!!(知らんけど)
最後に
ペンタックス17発売記念でハーフカメラネタが続いたけど、やはりオリンパスのペンシリーズはとても良く写る良いカメラだ。
大体全ての物に言えるけど、皆に愛されて、ヒットしたプロダクトはヒットするだけの理由があると改めて感じた。
ペンタックス17予約生産分は早々に完売したみたいだし、これからはローライAF35も出たりとフィルム界隈も盛り上がってきている気がする。
ペンタックス17も良いけど、昔からある国産のハーフカメラ達もまだまだ元気に使える物も多いし機会があれば是非触って欲しい。
今後ペンSの2.8も手に入れて撮り比べなんかしてみたいけど、多分僕の目じゃ描写の違いなんて判らないし、結局は「めっちゃ良い写り!!!」で終わりそうww
そもそも余りにも台数が多くてペンタックス17の購入にストップが掛かったのに、これ以上増やすと本格的にペンタックス17買えなくなっちゃう気がするので、暫くは手持ちのまだ使ってないカメラ達で色々写真を撮って行こう。
あとは、可能なら説明書はしっかり読んだ方がよいね(ΦωΦ)
思いがけず、知らなかった機能が見つかるかもしれないよw
最後まで見て頂きありがとうございました。
2 Comments
Pingback:
Pingback: