MARIXフィルムの社長とお話させて頂きました。今後のMARIX フィルムの話も。
こんにちは「kio」です。
今回はタイトル通りですが、このサイトでも度々登場する【MARIXフィルム】の社長「肥田」さんと電話でお話をする機会がありましたので、その話を書いて行こうと思っています。
記事では社長さんとのお話や、今後マリックスフィルムで発売した「新フィルム」の話等を書いて行きますので是非最後までご覧ください。
MARIXフィルム社長さんとの電話
マリックスさんにはいつも新フィルムが出るたびに色々提供して頂いていて、ちょっとご縁が出来てはいたのですが、Twitterでマリックスさんから連絡があり、色々やり取りをしていたのですが、その中で、、、
先ほど社長の肥田から、〇〇様がお時間がある時に直接電話でお話させて頂きたいと連絡がありました。差し支えなければ○○様のお電話番号を教えて頂けますでしょうか?大変おお手数をおかけいたしますが、ご検討の程よろしくお願い致します。
との連絡が。
いつもフィルムを提供頂いていて、一度お話してみたかったので、すぐに電話番号を伝えると電話がかかってきました。
その電話で夜遅くにも関わらず1時間以上話し込んで、肥田社長から色々と興味深い話を聞くことが出来ました。
遅くにも関わらず、長い時間を割いて頂いてありがとうございます。
また何かの折には是非お話させて頂きたいです!!
という事で肥田社長と話をした中で、とても興味深い内容の話がいくつかありましたので、紹介させて頂こうと思います。
あっ、もちろん記事に書くのは肥田社長の許可は頂いてますよ!!
フィンランドでの話
まずお話を聞かせて頂いたのは「フィンランド」でのお話。
新フィルムの交渉をしにフィンランドを拠点にEUで中古カメラを販売している「kameratori」へマリックスさんが販売を開始した「サンタカラー100」の代理店契約や輸入の話をするため、訪問しに行かれたそうです。
最初、社長は北欧の小さな会社かと思っていたそうですが、訪問先のkameratoriさんはびっくりするくらい大きく、素晴らしい場所だったという事でした。
この「kameratori」では中古カメラ販売に当たり、会社内の工房でカメラのメンテナンス、整備、修理をして販売しているそうです。
とても広い工房で多くの技術者さんがカメラ修理をしている光景をみてびっくりされたようです。
設備も整っており、金属3Dプリンター等を駆使して、設計図からパーツを作ったりもしているみたい。
このkameratoriさんではフィルムカメラの整備、修理技術者の育成にとても力を入れていて、今年も十人以上雇用し、フィルムカメラの整備、修理技術者を育成しているようです。
そして、その育成もしっかりしており、約2年の研修、育成期間を経て、整備修理が出来るようにしっかりとスキルを磨いているようで、今年も求人の倍率が約50倍だったとか!!
kameratoriさんがこのような取り組みをされているのには理由があり、僕が聞いた話をかいつまんで話すと、、
「今現状買い取ってそのまま販売出来るカメラは半分にも満たない、そして10年後はもっと減ってくる、そうなった時にカメラを整備、修理出来る技術者がいないと困るでしょ。なので将来を見据えて会社を挙げて技術の後継と人材の育成をしている。」
との事。
この話を聞いた時正直びっくりしました!!
流石ハッセルブラッドが生まれた隣の国、、、、(関係無いか、、、)
日本ではまさに今その「カメラ修理技術者問題」が深刻だと思います。
日本は誰もが認めるカメラ大国、一眼レフと言ったら「日本」という位、古くから沢山のフィルムカメラを世の中に送り出してきました。
しかし、そのフィルムカメラも今やリサイクルショップのジャンク箱で「未整備」のまま大量に転がっていてるのが現状で、一部のカメラは整備され販売されてはいますが、日本のカメラ修理の技術者もどんどん減っていき、高齢で後継者がいないため閉店した修理屋さんを僕は何件も見てきました。
しかしフィンランドのkameratoriさんではこの将来を見据えて技術者の育成をしていると、、、、
マリックス社長さん曰く、
「フィンランド(北欧)の方はリサイクルの意識、物を大切にする文化が根付き、浸透してるんですよ。」
との事。
これは日本も見習わなければいけないですね、、、
これは先日発表された「リコーペンタックスフィルムカメラプロジェクト」の中でも「技術の後継」を掲げていますが、本格的に今の内から動いて行かないと本当に10年後は動くフィルムカメラが無くなってくるのではないでしょうか。
どんなに大事に使っていても定期的なメンテナンスしていかないとカメラは調子が悪くなってしまいますからね、、、
kameratoriさんの様な規模でこうやってカメラ修理技術者を育てるという取り組みは是非日本でも行って欲しいですね。
マリックスフィルムから発売された新フィルム
次はマリックスさんから発売した新フィルムの事。
MARIXさんと同じで、現在のフィルム事情を憂い、フィルム文化を繋げようとkameratoriさんが企画し、クラウドファウンディングで約20万ドルを集め販売開始したフィルムが
「SantaColor 100」
「新フィルム」と言っても完全に新規のフィルムでは無く、中身はKodakの航空機用カラーネガフィルム「AEROCOLOR Ⅳ」というフィルムの様です。
このAEROCOLORは今までのMARIXフィルムの様にシネマ用フィルムを加工して一般的なカラー現像C-41を可能にしたフィルムでは無く、最初からC-41現像可能なカラーネガフィルム。
この「SantaColor100」の購入方法や、特徴等は別に記事を書いていますので是非そちらをご覧ください。
今後のMARIXフィルムの展開等
最後に今後MARIX フィルムの展開などについても少しお話を聞かせて頂きました。
現在マリックスフィルムは沢山の企業から「卸し販売」の問合せを受けているようです。
そこでネックになるのは「卸値」
マリックスさんでは直販もメルカリも結構ギリギリの価格設定らしく、商品を卸して販売すると店売りと直販価格のバランスが取れなくなって来ちゃうみたいなんですよね。
そこでマリックスさんが考えたのはコストカット。
その中で、まず取り組んだのは「送料」を少しでも安く出来ないか?
従来のフィルムというのはプラケースと箱に入っていますよね。
それだとどうしても厚みが出てしまいその分送料が高くなる、、、
ならケースと箱に入れずに送れば厚みも少なくなり、より安い送料で届けられる。
でもパトローネむき出しなのは湿気や光線漏れの影響が出て、余り宜しくない、、、、
そこでマリックスさんが考えたのは
「アルミ真空パック」
これだと光線漏れも、水濡れも大丈夫ですし、湿気の多い日本でも安心です。
そもそもパトローネもそんなにヤワでは無いですし、余程のことがなければこれでも輸送中に破損したりもしないと思います。
ネットではこのアルミパックの上に各種ラベルシールを貼って販売し、卸先での店売りでは従来の箱のまま販売。それに合わせて値段も変更するようです。
値段とパッケージデザイン等、詳細決まったらまた教えて頂けるとの事でしたので、詳細はもう少々お待ち下さい。
そして上記でお伝えした「SantaColor 100」についても湿気、水濡れ対策で、箱の上からエコパックに入れて販売していくとのこと。
当初は上記写真のアルミパックだったようですが、「せっかくの可愛いパッケージが見えなくなる」との事で、サンタカラーについては透明パックでの販売。
光漏れなんかもサンタカラーは箱に入っているので問題無いですね。
最後に
これ以外にも肥田社長とは沢山お話させて頂きました。
今後も少しでも安く、安定してマリックスフィルムを供給出来るようにするために、様々な事に取り組んでいる様ですし、更に、
「新しい乳剤の新モノクロフィルムも何とか作れないかと考えている。」
と仰っていました!!
これはまだまだ実現出来るかどうかはわかりませんが、この一言を聞いて、一フィルムカメラファンとしてはかなり胸熱!!!
それ以外にも新たに色々フィルムについて考えているお話聞かせて頂き、とてもワクワクしましたね。
本気で今後のフィルム業界の事を考えて、実行していくマリックスさんをますます応援したくなりました。
そして、今回貴重な時間を割いて沢山お話聞かせて頂きありがとうございました。
最後まで見て頂きありがとうございました。
その他「MARIXフィルム」関連記事も是非宜しくお願い致します。
https://photowalk56.com/?s=MARIX+
2 Comments
渕 龍一
先日香港のフィルムの紹介を見て書き込みした者です。今回フィンランドでのフィルム供給、カメラ修理などの有用な記事、ありがとうございます。北欧は物、歴史を大切にする傾向が強く感じられます。
またコダックの航空写真用フィルムへの言及がありました。アメリカ製と思われ、彼の国のものづくりは日本より深いことに気付く必要があります。私はアナログオーディオ愛好で、アメリカ ウエスタン・エレクトリックの350Bというビーム出力管を現用です。三極管300Bは現在も製造。こうした深い意識の差は否めず、こちらのサイトも啓蒙に繋がっていて、これからも宜しくお願いします。
kio
今回も見て頂きありがとうございます。
アナログオーディオお好きなんですね。
僕もギター等いじりますのでWEのブラックエナメル線等取り寄せて使っていました。
カメラに関しても日本はカメラ大国ではありますが、古い部品なんかは海外の方が互換品含め残っていたりしますし、フィンランドもですが、アメリカ等も案外古い物を大事にする習慣がありますよね。
物を大事にするというのは、日本も元々持っていた気質だと思いますので、そう有りたいですね。