【オールドレンズレビュー2】Ai NIKKOR 50mm F1.2 /特徴 作例
こんにちは「kio」です。
先日書いた記事「ジャンクカメラで遊ぼう Nikon F4s」内でも少し触れていたレンズ「Ai NIKKOR 50mm F1.2」のレビューと分解清掃、特徴、試写等書いて行きたいと思います。
まずは前回の記事をどうぞ。
Ai NIKKOR 50mm F1.2について
まずはこのレンズについて少し書いて行きます。
このレンズはニコンのオールドレンズの代表格ともいえる1977年発売のAi NIKKOR 50mm F1.4が発売された翌年1978年に発売されたレンズです。
F1.2とニッコールレンズで1番大口径=明るいレンズ。
1977年には50mm F1.4と同時に55mm F1.2も発売されているので55mm F1.2の後継レンズという事になりますね。
レンズ構成は6群7枚。これは50mmF1.4と同じです。典型的なガウスタイプのレンズです。
レンズ構成が同じで、絞りにしてわずか0.2の違いですが手持ちのAi-S NIKKOR 50mm F1.4と比べると鏡胴の大きさ、前玉の大きさがここまで違います。
大きさはこれだけ違いますがフィルター経はニコン伝統の52mm。
この50mm F1.2ですが、他のAiレンズと同じように1981年Ai-Sへとリニューアルされています。
絞り羽根は7枚。新しいAi-Sは9枚の様です。
ニコンレンズはこちらに発売年等書いてありますので、興味がある方はご覧になってみて下さい。
今回紹介するのは7枚羽根の初代「Ai」のレンズとなります。
この50mm F1.2はAi-Sになると値段も大分違うので購入する場合はお気を付け下さい。
上記リンク左が「Ai-S」右が今回紹介している「Ai」
このレンズの入手経緯
いつもの様に奥さんと散歩がてら行きつけの店にて発見。
実はこの時「Nikon F3」も救出しましたがこちらはそれなりの値段が付いていました(それでも動作品にしては安かった)。F3についてはまた別記事にて。
F3にばかり気を取られ余り気にもしていなかったですが、ちゃんと見たらF1.2、、、
おっ!!
と思い状態と値段を確認すると、「220円」という破格の値付けでした。
もうこれは状態等気にせずサクッと購入です。
NIKKORレンズは今まで殆ど分解等した事無いですが、220円なら最悪壊れてもダメージは少ないです。
この日は「Nikon F3」と「モータードライブMD-4×2」と「Ai NIKKOR 50mm F1.21」の4点のジャンクを手に入れました。
こうなってくると散歩中ですが気もそぞろ、早く家に帰って分解したくてたまりません(おかしいですかね??)
レンズの状態確認
急ぎ足で家に帰り早速状態の確認です。
ごらんの通りカビ、ホコリがかなりある状態です。
写真には上手く写りませんでしたが、中玉端辺りにかなり大きなカビも確認できます。
幸いにもバルサム切れや写りに影響するようなクモリは発生していないようです。
その他状態としてはヘリコイドが固着してやたらピントリングが重いですが、絞り羽根は綺麗に開きますし、絞りリングのクリック感もしっかり残っている状態。
とりあえず手探りで分解作業に入ります。
レンズ分解 使用道具一覧
いつものレンズ分解セットを用意しました。
使ったものは
- カニ目レンチ
- 先が細いピンセット2種
- 精密ドライバー各種
- ゴム製レンズオープナー
- 無水エタノール
- 綿棒
- レンズクリーニング液
- レンズクリーニングペーパー
とりあえず分解清掃にはこのあたりがあれば分解は出来ます。
分解の手順は物凄く長くなりそうなので別記事で書いていきたいと思います。
そんなこんなで上記の道具を駆使して、四苦八苦しながら分解清掃完了。ついでに古いヘリコイドグリスも除去し新しくグリスアップ。ピントリングもヌルヌル動きます。
初めての分解で手探りでの分解でしたが、集中して作業したおかげで構造は大体理解出来ました!!
この写真のフードはちょっと浅いですが見た目が気に入っています。金属製で前面にフィルターネジが切ってあるので見た目もすっきり。
試写、作例
そんなこんなでとりあえず分解清掃完了したので、同じくジャンクで手に入れた「Nikon F4s」に取り付けて試写です。
フィルムは12年期限切れの業務用100
このフィルムは12年期限は切れていますが、感度落ちも色被りも無く普通に使えますので24枚撮りという事もあり使いました。
絞りをメモしながら撮影。
今回使った業務用100と中身が一緒と言われているフィルムはこちら
感想
まずはこのF4sとの組み合わせ、、、カッコいいのですが首がもげそうになるほど重かったです(笑)
描写の感想ですが、まず開放での撮影は柔らかい=甘い描写だと思いました。ピント面はそこそこ解像してますが、全体的にソフトな描写。
もちろんF1.2なのでピント面は浅く、「開放時の周辺減光」が顕著にみられました。
周辺減光はF2~F2.8位まで絞ればどの条件でもほぼ感じられないですが、開放だと結構目立つ感じでした。
特に作例4枚目と5枚目が周辺減光の具合がよくわかります。
F4~F11位ではガウスタイプレンズらしくとてもシャープな写り。今から40年以上前のレンズにしては十分今でも使えると思います。
F5.6~F11位が一番解像度は出ていそう。
今回は試していませんがF16だと流石に回析現象で画質は低下するものと思われます。
それと、今回撮った写真では目立つ感じは無かったですが特に開放時には背景に気を付けないとボケが二線ボケが出やすく、玉ボケもレモン型になります。
このあたりの癖はいかにもオールドレンズらしく僕は大好物なのですが、人によっては嫌いな方もいるかと思いますので注意が必要。
分解清掃後モノクロで試写した時の写真も一枚だけ載せます。
この写真でちょっとうるさい背景ボケと、レモン型の玉ボケが確認できますね。
クリックすると拡大します。
上の写真は開放F1.2での撮影。ちょっとボケがうるさく、光源もレモン型になってます。
最後に
開放1.2と大口径のレンズ「Ai-S NIKKOR 50mm F1.2」のレビューを書いていきました。
正直F1.4と明るさも余り変わりませんし、その割にデカく、重くなるのですが、その0.2の絞りの違いは「ロマン」です(笑)
前玉も迫力があってカッコいい!!!
使う理由はそれだけですw
今回F4の最速1/8000のシャッタースピードをもってしても、ISO100フィルムで日中だと開放はきつい場面も多かったですし、ちょっとボケに癖があるレンズですが、「ロマン」を求めたい方には是非使って頂きたいレンズですね。
因みにこのレンズの前進である「Nikkor-S Auto 55mm F1.2」の開発秘話はニコンHPの【ニッコール千夜一夜物語】第四十九夜にて開発の経緯や技術面等詳しく書いてあります。
とても面白いコンテンツですので是非見てみて下さい。
それと、最近ニコンついてるので沢山の単焦点NIKKORレンズが家にやってきています。
このレンズたちも「オールドレンズレビュー」として詳しく紹介できればと思いますので、気長にお待ち下さいね。
最後まで見て頂きありがとうございました。