【フィルムレビュー】「HARMAN PHOENIX」イギリスハーマン・テクノロジー社から完全新規、オリジナルのカラーネガフィルム新発売。早速使ってみた。
こんにちは「kio」です。
タイトルでほぼ全てネタバレしていくスタイルだけど、今回はイギリス、ハーマンフォトから新発売された完全新規、オリジナルのカラーネガフィルム
「HARMAN PHOENIX=ハーマン フェニックス」
について作例多めでレビュー記事を書いて行こうと思う。
2023年最後のフィルムレビューになると思うので、是非最後までご覧ください。
このサイトでは各種フィルムレビューも沢山書いているのでそちらも合わせて是非見てね。
この記事の後2本目3本目を現像したレビューも書いているのでそちらも合わせてどうぞ!
更にその後4本目も現像して記事を更新してます。
製造している「ハーマンフォト」と輸入代理店について
この「ハーマンフェニックス」の製造、販売は
「ハーマンフォト」となっている
HPを見る限り、このハーマンフォトは「ハーマン・テクノロジー」の一つのブランドみたい。
永らくフィルムカメラをやっている人は「ハーマン」と聞いてピンときたかもしれない。
「ハーマン・テクノロジー」はモノクロフィルム等でお馴染みの「イルフォードブランド」を製造、販売している会社。
日本ではイルフォードブランドは「サイバーグラフィックス株式会社」が2008年~2023年まで代理店として取り扱っており、2023年からは「ジェットグラフ株式会社」が代理店としてイルフォードブランドの販売を行っている。
でも、今回の「ハーマンフェニックス」の輸入総代理店は「3i株式会社」。
「3i(サンアイ)」はこちらも聞いたことがある方もいるかもしれないけど、「蔵CURA」というカメラアクセサリー等を製造販売している会社。
ハーマンの製品でありながらイルフォードブランドでは無く、ハーマンフォトなので代理店が違うのかな??
そこらへんは色々と事情があるのだろう。
なんにせよ、製造元も、輸入代理店もしっかりした所なので安心して使えるね。
購入方法と値段について
「ハーマンフェニックス」の購入方法なんだけど、この記事を書いている2023年12月9日時点では購入方法は複数確認が取れている。
- 蔵CURAのオンラインショップ
- マップカメラ
- ヨドバシカメラ
- チャンプカメラ
- カメラはスズキ
等、複数の店で販売開始しているようだ。
値段は36枚撮り1本「2,585円」(ヨドバシのみ2,580円と5円安い)
今後各ネットショップや、沢山のカメラ店等で販売されると思う。
「ハーマンフェニックス」の外観をチェック
オレンジ色の外箱に、名前の通り「フェニックス(不死鳥)」がデザインされている
箱には「メイドインイングランド」「ISO200」「C-41」「使用期限」等の各種情報が記載されている。
箱裏にもいろいろと書いてるね。
Google翻訳してみた画像も一緒に載せて置く。
ここで気になったのは
- ハーマンの工場で乳剤からカセットまで完全に制作されたカラーネガフィルム
- 限定!
という所かな。
箱から出すとイルフォードの黒白フィルムと同じ黒いパトローネケース。
ケースから取り出すと、金属パトローネだ。
プラパトローネだと極稀にではあるけど、相性の悪いカメラもあったりするし、やっぱり専用の金属パトローネだと安心する(長巻とかで使い回しも出来るしね)
ISO200のDXコードもちゃんとついている。
それにしてもこの乳剤の色凄いねw
以前レビューした「ロモクロームカラー´92」ともまた違った「濃い目の黄色い乳剤の色」だ。
取り合えず作例
と、ここまで見て貰ったけど、ここから早速作例を見て貰う。
新規のフィルムという事で現像はMARIX C-41で自家現像。
最初のロールということもあり、自分の感露出よりは遥かに正確であろう「Nikon F90X」をチョイスした。
- 使用機材:Nikon F90X/NOKTON 58mm F1.4
- 現像:MARIX C-41自家現像 38℃ 3´30
- スキャン:エプソン GT-X830
エプソンのフラットベッドスキャナーでは基本自動で良いらしいが、今回はスキャン時にコントラスト、彩度、イエローを下げ、シアンを少し足している。
その他色温度、色合いなどは弄っていない。
そのままでも良い感じではあったんだけど、少し全体的に暖色っぽく、コントラストも高すぎたので少し弄ってみたが、全体暖色傾向は自家現像だったからかもしれない。
どうしても自宅でのカラー自家現像は完璧な安定した仕上がりになり辛いからそこはしょうが無い。
でも補正といってもほんの僅かに行ったくらいで今回の作例の感じになったので成功ではないだろうか?
そして、エプソンの場合設定項目の「アンシャープマスク」のチェックは外した方が良いと思うが、ここら辺は好みなので自分で色々と見つけて欲しい。
これらの色味については、まだ発売されたばかりで公式のサンプル写真位しか無いので判断が難しい所はある。
蔵CURAの公式ページでは「ISO100~400の間で使用する事が出来る」とあるが、これはあくまでカラーネガフィルムのラチチュードに頼るという事だと思う。
作例では断りが無い場合はISO200で撮影している。
一応比較として最初のカットはISO100、200、400で撮影しているので比べてみて欲しい。
ここまで3枚がISO100〜400での各写真。
完全に落葉したいちょうの木。
光を反射した土管の周りがハレーションを起こして赤く滲んでいる。
シネマフィルムの様な特徴だけど、このフィルムはシネマ用ではなくスチル用カラーネガ。
黄色も中々良い色味だ。
潰れたスナック。
コントラストがかなり高い。
赤系の色もかなりコッテリ、クッキリ。
一筋の光を切り取る。
コスプレした郵便ポスト。
室内の雑貨屋さん。
一気にクリスマスムード。
ちょっとアンダー気味だったね。
これも強い光がハレーションを起こしているのがわかる。
高コントラストな「錆」の雰囲気が良い感じだ。
色が多い被写体だとコントラストの高さが際立つね。
青もしっかりでている。
逆光で。
こういった明暗差がある所を撮るとメリハリのある印象的な雰囲気に。
インパクトしか無い看板だ(笑)
白壁がハレーションで滲んで見える。
いつもの猫さん。
入ってみたい、、、
地下歩道から地上を見上げる。
これも明るい所はハレーションで少し滲んでるかな。
フジフロンティア自動スキャン作例
次はフジフロンティアで自動スキャンの作例。
全く同じネガでこれだけ違いが出るのはかなり衝撃的な結果。
作例を見て感じたこと
沢山作例見て貰った訳だけど、この「ハーマンフェニックス」を使って僕が感じた印象は
- ISO200のフィルムとしては粒状感が多め
- コントラストはかなり高い(特にフロンティア自動スキャン)
- 発色はこってり彩度も高め(こちらもフロンティア自動スキャンの場合)
- 無補正だと暖色系な感じ
- シャープネスはあまり高くない
- ラチチュードは余り広くない(特に暗い方に狭い)
- シネマ用フィルムの様に強い光源には光の滲みが出る
こんな感じ。
発色もこってりで、粒状感もあり、今まで感じたことのない印象を受けるフィルムだと思う。
明暗差がある場所なんかはラチチュードの狭さと高コントラストのお陰で印象的な雰囲気になる。
光がたっぷりの場所を撮ると、ハレーションも含めパキッとした印象で、日陰でも高コントラストのお陰でぼやけず色もハッキリ出てくれる。
シャープネスについては上に「あまり高くない」と書いたけど、特に低いわけでもなく普通。
試しにシャープネスを上げてみたら粒状感のエッジが目立ってしまったのでシャープネスは上げない方が無難だと思う。
因みに、このレビューを書くにあたって輸入代理店の「3i株式会社」さんに色々質問してみたんだけど、この強い光源での光の滲みについてははっきりと
「シネマ用フィルムの加工では無く、スチル用カラーネガフィルムです」
との回答を得ている。
テクニカルデータシートを見ているとどうもハレーション防止剤が無い様で、シネマフィルムの様に強い光源を撮ると赤く滲む特徴があるみたいだ。
それに合わせてデータシートには「高コントラスト」である旨の記載もあるが、その通りかなり高コントラストだ。
現像について
現像は今回はカラー自家現像を行ったが、問題無く現像する事が出来た。
今回は自家現像だったので、タンクの温度を合わせるため前浴した所、オロナミンCの様な黄色い色の水が出てきた(笑)
写真を撮っておけばよかったと後悔している。
3iさんでは今現在「フジの現像機」で確認作業を依頼中との事。
確認が取れたらキタムラなどのチェーン店の店内ラボなんかでも受け付けてくれるのではないかな
フジの現像機で確認が取れてどこでも店内現像受付してくれると田舎住みの僕は助かるんだけどな。
自分で現像をした感じ「C-41」処理で現像出来ているので問題は無いと思うが、現像に出す際は確認を取ってから現像に出すことをおすすめする。
因みにこの「ハーマンフェニックス」は
- スチル用C-41現像処理のカラーネガフィルム
- フィルムエンドはテープ止めでは無く、差し込み固定
- 製造は「ハーマンフォト(ハーマン・テクノロジー社)」で輸入代理店は「3i株式会社」(これらの情報は会社として実績、信用があるので伝えてもいいかもしれない)
取り合えず依頼する時はこれらの情報は伝えればある程度スムーズに受付してくれると思う。
郵送現像等を依頼する場合もしっかり確認してから送る様にして欲しい。
しかし、上にも乗せたように余り見ない「黄色い乳剤」なので、現像所のスタッフさんはビックリすると思う。
スキャンについて
パーフォレーション部分には「HARMAN PHOENIX 200」と記載されていて、フィルムベースは紫っぽい感じ。
スキャンについては写真の通り、ネガのベース面がオレンジでは無いため、自動でスキャンすると機種によってはちょっと色味が変わってしまう恐れがある。
これは「ハーマンフェニックス」のテクニカルデータシート、スキャニングパラメーターが公開されているのでそちらを参考にして欲しい。
下に張ったのは翻訳バージョンなので参考までに。
※家庭用のフラットベッドスキャナー使用の場合のスキャンのヒントがハーマンの公式HPで公開されているので下記リンクを参考にして欲しい。
オリジナルの英語版は「蔵CURA」の販売ページにある。
→ハーマンフェニックス公式販売ページ(このページにオリジナルテクニカルデータシートがある)←
上記スキャニングパラメータではフジとノーリツ現像機のそれぞれの推奨パラメータが記載されている。
可能であればそちらのセッティングを伝えてスキャンをお願いしてみるのもありかも。
最初の作例は家庭用フラットベッドスキャナーEPSON GT-X830を少し弄ったもの、次はフジフロンティア自動スキャンしたものだったけど、全く別なフィルムじゃないかと思うくらい違う描写になった。
キタムラさんでスキャンをお願いしたんだけど、キタムラさんではスキャニングパラメータの調整、変更は受け付けていないとの事で、自動でのスキャン。
データシートにではEPSONのスキャナーでは推奨は自動だったが、少し弄っているので本来の感じとは少し違っているかもだけど(それでも大きくは弄っていない)、フロンティアスキャンの方は流石に彩度、コントラスト共に高すぎると思った。
まぁ、これは好みの部分も大きく影響するけどね。
機会があれば上記のハーマン推奨のスキャニングパラメーターでフロンティアやノーリツでスキャンもしてみたい。
ハーマンフェニックス特徴まとめ
作例も含め色々と書いてきたけど、ちょっと特徴等をまとめてみる
- ハーマン・テクノロジーのオリジナル完全新規のスチル用カラーネガフィルム
- 限定品(この言葉に弱いのは僕だけじゃないはずw)
- ISOは200
- 金属パトローネ、ISO200のDXコード付き、フィルムエンドは差し込み固定
- 値段は36枚撮り1本2,585円(税込み)
- ベースがオレンジでは無いのでスキャンの際は注意
- 乳剤の色が凄いw
- 新規発売のフィルムの為、現像に出す前に店舗に要確認
- 強い光では赤い滲みが出る
- 粒状感は多めで高コントラストで発色もコッテリ
- ラチチュードは広く無い(特に暗い方に狭いと感じた)
こんな所だろうか?
まとめ
使ってみて、ISO100から400で使えるとはあるけど、光がたっぷりの日向では200〜400でシャドーを落としてドラマチックに、逆に日陰や日向&日陰のような場所だと100〜200で光をたっぷりみたいな感じでも良いかもしれない。
その後3本使ったけど、このフィルムはアンダーだと黄色っぽい色カブリを起こすみたい。
それについては今記事を書いているので公開までもう少し待ってほしい。
ラチチュードはちょっと暗い方に狭いと感じたし、感度も確実に400は出ていないと思うので、特に室内では光はたっぷり目に与えてあげた方が良い結果になると思う。(200でも怪しい感じもする)ので明るめの100〜ISO200として使うのが良いと思う。
ロモグラフィーのロモクロームカラー’92もコントラスト高めで、粒状感に特徴のあるオリジナルフィルムだったけど、この「ハーマンフェニックス」はロモクロームカラー’92とは色味の傾向が全く違う。
こうやって色々とオリジナルの新規カラーネガフィルムが出てくれるのはフィルム愛好家としては本当にありがたいし、今までフジとコダックの2強だったところに、「ハーマン」のような自社でカラーネガフィルムを生産できる様な所が参入して今後も継続して展開してくれればフィルム業界にとってもとても良いことではないだろうか?
箱裏に「限定品」って書いてあるのは気になるけど、今後もアップデートしながら販売を続けて欲しいな。
正直2,585円とちょっと値段は高めのフィルムだから頻繁には買えないけど、また使ってみたくなる魅力とポテンシャルはあるフィルムだった。
今回は2本購入したので、次は海で使ってみたいし、夕方とかの光も印象的に撮れそうな予感はしている。
取り敢えず1本使ってみてのレビューを書いてみた。
まだ発売されたばかりで作例なんかもあまり出ていないフィルムではあるけど、今までにない特徴を持った面白いフィルムなので機会があれば手にとって使ってみて欲しい。
最後まで見て頂きありがとうございました。
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