[実験]「コーヒー現像」インスタントコーヒーで現像してみた。

ROLLEI RPX 100

こんにちは「kio」です。

タイトル通りですが「インスタントコーヒーで現像」してみました。

えっ?、、

何言ってるの?、、、

インスタントコーヒーで現像??

と思いましたね?

でも、皆さんがいつも飲んでいる粉のコーヒーで現像できちゃうんです。

しかも使うものはどこでも購入出来るものばかり。

今回は「コーヒー現像」で使うものと、レシピ、現像データ、現像方法を紹介していきます。

はじめに

今回の記事は主に「モノクロ現像」している方向けですが、これから始めたい方にもおすすめ出来る記事となっています。

まず最初に「モノクロ現像」が初めての方向けにデータの、読み取り方、必要な道具、リールへのセット方法、現像手順等の記事がありますので是非どうぞ。

コーヒー現像をしてみようと思った理由。

現像液の自家調合をしてみようとネットで調べていた所、「コーヒー現像」という文字が目に付いたんですね。

実はコーヒー現像の事は以前から知っていたのですが、作例などで「かなり薄く像が出る」とか、「コントラストが低い」とかネガティブなイメージしか無かったのですが

「これは行けるのでは?」

と思う様な作例を見つけ、色々「コーヒー現像」について調べてみました。

その結果、危険な薬品類等を使わず、身近にあるものだけで良好な結果が得られそうなレシピを見つけたので、チャレンジしてみようとおもいました。

次のからは「コーヒー現像」で使うもの、購入方法、コスト、レシピ等書いていきます。

コーヒー現像で使うもの

  • インスタントコーヒー
  • セスキ炭酸ソーダ
  • ビタミンC(アスコルビン酸)

以上です。

更に現像では必須の「定着」という工程が必要なので「定着液」は別途必要です。

今回定着液はいつもモノクロ現像で使っている「スーパーフジフィックス」を使用。

コーヒー現像で使うものの購入方法、コスト

次は使用するものの値段です。

インスタントコーヒー…..ドラッグストアで200g 750円

今回はネスカフェエクセラ。

安くて1番量が入っているインスタントコーヒーで大丈夫です。

ネスカフェ エクセラ 200g【100杯分】【瓶】【牛乳に溶ける】【カフェオレ】
商品紹介 ネスカフェ エクセラはブレンドしたコーヒー豆ごとに最適な温度・時間で丁寧に手間ひまかけて焙煎する「こまやか焙煎」と、微粉砕したコーヒー豆の粒を包み込むネスカフェ独自の「挽き豆包み製法」を採用。 コーヒー豆を酸化の原因となる空気に触...

豆からドリップしたコーヒーは使えません。

セスキ炭酸ソーダ…..こちらもドラッグストアで300g 298円で購入。

アマゾンにも売ってます。

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重曹でも使えますが重曹を使う場合は鍋などで煎ってサラサラにして使います。

重曹は「炭酸水素ナトリウム」、鍋で煎ると「炭酸ナトリウム」変化します。

セスキ炭酸ソーダは「炭酸ソーダ」=「炭酸ナトリウム」なんですね。

ビタミンC (アスコルビン酸)…..ネットで850g 1,000円で購入。

ビタミンCは純度が高いものの方が良いです。

ビタミンC 850g L-アスコルビン酸 100% 粉末 CRANE FOODS
・【美容と健康をサポート】ビタミンCは、人間の体内では作ることができません。また体内で消費されていきますので、1日100mg~1,000mgを目安に1日3回などに分けてこまめに摂取することを推奨しています! ・【食品添加物公定書に定める純度...

味が付いていたり、マルチビタミン等は使えません。

ビタミンCの錠剤をすり潰したり、カプセルから中身だけ取り出す方法もありますが面倒臭いですし、コストも割高になるのでオススメしません。

現像液に使う物のコストは約2,000円程ですが、インスタントコーヒーは飲めますし、セスキ炭酸ソーダは掃除に使え、ビタミンCもお風呂に入れたり、飲んだりと使わなくなっても無駄になることはなく、かつ毒性もほぼ無いので、現像液の処理も楽というメリットがあります。

コーヒーで現像出来る理由は?

取り敢えずここまでで必要なものを見ていきましたが、大前提として、「何故コーヒーで現像出来るのか?」ですが、調べてみました。

ここからざっとだけ簡単に説明していきます。

まずインスタントコーヒーには「ハイドロキノン」という物質が含まれています。

この「ハイドロキノン」聞いたことがある方はもいるかも知れません、美白等を謳っている化粧品等に含まれています。

それと、モノクロ現像をやる方であれば更に馴染みが有る、有名な現像液「Kodak D-76」等に使われている物質です。

このハイドロキノンが現像する効果があるんですね。

更にビタミンC(アスコルビン酸)も現像効果があり、「Kodak X-TOL」はこのアスコルビン酸ベースの現像液です。

この「ハイドロキノン」「アスコルビン酸」によって現像を進めていく訳なのですが、これだけだと現像の効果が弱く、しっかり現像出来ません。

現像の効果を高めるためには水質が「アルカリ性」てある必要があります。

そこで、セスキ炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)を加えることにより、水質を強い「アルカリ性」にすることにより、「ハイドロキノン」「アスコルビン酸」の現像効果を高め現像する。

という原理らしいです。

ここに「ブロムカリ」という薬品を少量加えるレシピもりますが、今回はどこでも簡単に手に入るものだけで現像するというコンセプトなので使用しません。

コーヒー現像レシピ

現像液の名前ですが「Caffenol-C-M」という名称です。

今回コーヒー現像するに当たり色々な方がレシピを公開していますが「コーヒー現像」といえばこれといったのをみつけましたのでそちらを参考にさせて頂いています。

参考にさせて頂いたサイトです。

カフェノールの開発者「Reinhold」さんのブログです。ここにカフェノールについて書いてあります。

このサイトには「Caffeenol」について色々載っていますので、興味がある方は是非訪問してみてください。

この「Caffenol-C-M 」の「M」とは「for medium fast 100 ASA films」のmでASA100までのフィルム用のレシピだそうで、今回はこの「Caffenol-C-M」を使用していきます。

こちらのサイトでは1Lでのレシピですが、今回使用した現像タンクがJOBO1510とい現像タンクで、液を250ml使用するものでしたので全て4/1にしてあります。

250ml用分量

  • インスタントコーヒー 10g
  • ビタミンC 4g
  • セスキ炭酸ソーダ 14g

Caffenol-C-Mの作り方

50mlのお湯に10gのインスタントコーヒーをしっかり溶かし、残りの水200mlを加えセスキ炭酸ソーダを14gを溶かした後、最後にビタミンC4gをしっかり混ぜ溶かします。

しっかり溶けると細かい泡が出てくるので5〜10分置いて落ち着いてから使用します。

※溶かす順番は「インスタントコーヒー」「セスキ炭酸ソーダ」「ビタミンC」の順番が良いようです。それぞれ溶け切ってから次を入れてください。

なんともいえない匂いがしますが、がんばって混ぜていって下さい。

この現像液を20℃に調整していきます。

現像液を作る際に500mlのペットボトル等に作ると振るだけで混ざりますし、キャップを締めてお湯や、水に浸ける事で温度管理もしやすいのでペットボトルおすすめです。

使用フィルム、カメラ、現像データ

  • フィルムはROLLEI RPX 100
  • カメラはPENTAX LX、レンズはSMC TAKUMAR 55mm F1.8

正確な露出の違いを見たかったので手持ちのフィルムカメラで1番精度に信頼が置ける「PENTAX LX」を使用。

更に外部露出計と併用してマニュアルで撮影しました。

  • Cafeenol-C-M 20℃ 15’00 (60/60/4)
  • 停止 水使用 1’00連続撹拌後2~3回程コーヒーの色が無くなるまで繰り返す
  • 定着 スーパーフジフィックス 8’00(60/60/4)
  • 水洗い 60’00
  • 乾燥

現像手順

ここからは現像手順の詳細ですが、通常の手順ですので、すでにモノクロ現像をやっている方は読み飛ばして頂いて大丈夫です。特に変わったことはしていません。

1.最初60秒連続撹拌後60秒毎に4回の倒立撹拌を規定時間まで行います。

2.停止。

いつもはクエン酸水を使いますが今回は水を使用。

現像液排出後素早く水を入れ60秒倒立撹拌。

その後コーヒーの色が無くなるまで水を入れ替えながら倒立撹拌30秒を2〜3セット。

3.定着

水槽のカルキ抜き等で使われる「ハイポ」で定着する方法も有るみたいですが、保存性等を考慮し、せっかく持っているということもあり「富士フイルムのスーパーフジフィックス」で8分。

コーヒー現像は定着の抜けが悪いと見たので通常よりも長めに定着時間を取りました。

4.水洗い

フジのQWを使用した場合10分ですが、水だけで行う場合は30〜60分。

今回は水のみなので60分としました。

5.乾燥

水洗い終了後のタンクに食器洗い洗剤を1、2滴たらし1分程漬け込んだあとクリップに付けて風呂場等、ホコリが少ない場所で乾燥。

食器洗い洗剤に含まれる「界面活性剤」が水の切れを良くして、水滴ムラになりにくいです。

DWを持っている方はそちらでも大丈夫です。

コーヒー現像の結果と感想

コーヒー現像は1〜1.5段アンダーに出ると色々なサイトに書いてあったので、1段オーバー、と適正露出で続けて撮影。

実際に現像したネガ。濃度もしっかり出ています。

スキャン後無補正。

どうでしょうか?

コーヒー現像すると1段から1.5段アンダーに出ると聞いていたのですが、、、

1段オーバーで撮った方はちょっと濃い目のネガで少しオーバー気味、適正露出の方はネガ濃度も丁度良く、アンダーにならずしっかり像が出ています。

コーヒー現像でもASA100の感度はちゃんと出ているようです。

コーヒー現像するとコントラストが付きにくいと見たのですがどうでしょう?

確かに、眠い感じで軟調ではありますね、もう少しコントラストがあった方が好きではありますが、許容範囲。

このくらいならスキャン後の補正でどうとでも出来るレベルです。

粒状感はASA100フィルムにしてはやや多めに出ている気がしますが、こちらも全然気になりません。

スキャン後全くの無補正と考えるとかなり満足できる結果だと思います。

太陽がしっかり出ている時間帯に試し撮りしたのですが、やや暗い、ダークな雰囲気に感じます。

良く言えば諧調が出ているとも言えますね。

これはこれから梅雨時期の雨に濡れた路面等を写すととても雰囲気が出るように思いました。

「Caffenol-C-M」の100mlあたりのコスト

現像液100mlあたりどれ位のコストがかかるか計算してみました。

インスタントコーヒー 200g 750円 

セスキ炭酸ソーダ   300g 298円

ビタミンC      850g 1,000円

として計算します。

インスタントコーヒー100mlあたり4g使用・・・15円

セスキ炭酸ソーダ100mlあたり5.6g使用・・・約5.6円

ビタミンC100mlあたり1.6g使用・・・約1.88円

となり、今回使った250mlとタンクだと(15×2.5)+(5.6×2.5)+(1.88×2.5)=56.2円となります。

今現在だと250ml使用の1回の現像液のコストは富士フィルムSPDが1:1希釈だと34円、Kodak D-76が1:1だと91.25円とちょうど間位のコストですね。

これなら費用的にも、ありかと思いますね。

コーヒーとセスキ炭酸ソーダは店舗購入した物なので、ネットで探すと大容量の物がもっと安く手に入ります。

そうすると1回あたりのランニングコストがもっと抑えられるのでおすすめ。

コーヒー現像をしてみて

正直、こんなにしっかり現像出来るとは思ってませんでした。

通常の現像液は多少毒性があったりするのですが、この「コーヒー現像」ならコーヒーと、ビタミンCと、セスキ炭酸ソーダのみの構成で、そもそもコーヒーとビタミンCは食用ですし、セスキ炭酸ソーダも掃除とかで使うものですので他の現像液より環境には優しいと思います。

※強いアルカリ性なので決して環境に良いとは言いませんが通常の現像液と比較すると優しいです。

現像液を捨てる際は流しに多めの水と一緒に流して大丈夫です。

※自治体によって処理方法は違います、当方の住む自治体では水と一緒に流して良いと確認済み。

但し、定着液については、使用済みの液体にスチールウール等を沈め一晩置いておくと定着液に溶け出した「銀」が付着しますのでそのスチールウールと、液体はわけて処理すると良いと思います。

あと、水洗いはいつもより長めに取ったほうがいいと思いました。

モノクロ現像はしてみたいけど、薬品取り扱うのが怖いな〜、

と思ってる方にも「Caffenol-C-M 」はオススメ出来る現像液ですので、実験感覚で是非チャレンジしてみてください。「Caffenol-C-M」とは別に「Caffenol Delta STD」というレシピも見つけましたのでこちらについてはまた試して書いていきたいと思っています。

最後まで見て頂きありがとうございました。

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