【フィルムカメラレビュー】最高のフルメカニカルコンパクトカメラ Rollei 35

フィルムカメラ
最高のコンパクトフルメカニカルフィルムカメラ

こんにちは「kio」です。

満を持しての登場、、、、

【Rollei 35】のレビューをしていきたいと思います。

このカメラ度々このサイトでも出来てきますが、僕が大好きなカメラ。

初代Rollei 35が発売されたのが1967年ですので、2023年で約56年経った半世紀越しのカメラレビューですねw

このローライ35は年代によって生産国が違ったり、レンズが違ったりとバリエーション豊富なので、そちらも合わせて紹介していきたいと思っております。

あっ、最初に言っておきますが「ローライ35」愛が強すぎでかなり偏ったレビューになるかもなのでそちらはご了承下さいね!

ローライ35について

冒頭で触れましたが、この「ローライ35」は1966年にフォトキナ(カメラを含めた映像関連の見本市)にて発表され、翌1967年に発売されたカメラです。

発売当時日本では約39000円と、当時の物価から見てもかなり値段も高く、「元祖高級コンパクトカメラ」等とも言われています。

下の写真をみて頂けるとわかりますが、フィルムの箱と同じ位の高さ、厚みなんです。

高級なのには訳があり、レンズはカール・ツァイス、露出計はゴッセンのCds、シャッターユニットはコンパーと、当時のドイツの一流メーカーのパーツ等を使って作られました。

このカメラを設計したのはドイツの天才カメラ設計者「ハインツ・ヴァースケ

1967年当時は日本では大きくて重い一眼レフや、コンパクトなハーフカメラが全盛期、その時代にハーフカメラより小さく、35mm判のフルサイズカメラを発表したので、世界中が驚いたのもうなずけます。

ローライ35スペック

ここで基本的な「ローライ35」のスペック

使用フィルム:35mm

シャッター速度:B、1/2~1/500

ファインダー:ブライトフレーム付き素通し

ピント合わせ:目測式

ファインダー倍率:0.62~0.75倍(生産時期により異なり諸説あり)

露出計:ゴッセン追針式Cds

使用電池:MR-9水銀電池 現在は代替アルカリ電池を使うかアダプター使用で使えます

発売年:1967年

ローライ35の生産国による違いと見分け方

ローライ35は1967年当時はドイツ製、その後1971年には生産国をシンガポールに移しています。

機能的にはドイツ製もシンガポール製も一緒なのですが(細かいパーツの違い等はあります、すぐわかる違いが裏蓋の[生産国表記]と[ファインダ]ーと[レンズ銘板の表記]。

裏蓋左下に生産国が表記されています。

しかし、中にはシンガポール製にドイツ製の裏蓋を付けたものもあるとか無いとか、、、

ほぼ確実に見分けるにはファインダーを除いてみるとわかりやすいです。

これはドイツ製の物はプリズムが使われていて一つのブロックになっていて倍率も高くクリア、シンガポール製以降はファインダーは樹脂を含むユニットになっている様で、倍率も低く経年でクモリが出やすいようです。

正直ローライ35のファインダーは完全素通しなので、そこまで実用に差はないと思いますが、手持ちのドイツ製とシンガポール製を覗いてみると確かにドイツ製の方が歪みが少なく倍率も高くややクリアーな印象はあります。

倍率はシンガポール製は0.62倍ドイツ製は0.75倍位と言われていますが、ドイツ製の倍率はもう少し高いという情報も有ります。

上の画像はそれぞれのファインダー内を撮りましたが、高さがズレていますし、最高に見ずらいですがお許し下さいw両方ともファインダー内は写る範囲を示すブライトフレームがあるのですが、シンガポール製はそのブライトフレームの中に最短撮影時の目安枠も表示されています。

左がローライ35シンガポール、右がローライ35ドイツです。両方とも貼り革交換しています。

そして、正面からファインダーを見るとシンガポール製と、ドイツ製ではドイツ製の方がファインダー窓がわずか小さいのがお分かり頂けるかと思います。

レンズはドイツ製の物は銘板に「Carl Zeiss Tessar」と表記してあるのに対し、シンガポール製は「Made by Rollei」と表記が変わっています。

これは1971年にシンガポールに生産拠点を移した後、ローライ製のライセンスへと切り替わったからですが、1971年初期の頃のシンガポール製には「Carl Zeiss Tessar」表記の物もわずかに存在しているようです。

ローライはシンガポールになっても品質は変わらないと言っていたみたいですが、写りに関してはドイツ製とシンガポール製を同条件で撮り比べても、少なくとも僕の目には全く一緒に見えます。

ローライ35はドイツ製が人気が高く、値段も大分変ってきますが、実用では全くと言っていいほど違いは無いですね、むしろちゃんと整備されているかどうかの方が重要だと思います。

その他内部ギアの素材や、底部巻き戻しダイアルの素材、ロックの形状等、同じドイツ製でも最初期とはちょっと違う所はあるみたいですし、ドイツ製の最初期の物は「MADE IN GEAMANY BY Rollei-COMPUR-GOSSEN-ZEISS」表記らしいですが、僕は現物は見たことが無いです。

これ位わかっていれば大体シンガポール製とドイツ製は見分けは付くと思います。

ローライ35のバリエーション

そして「ローライ35」には沢山のバリエーションがあります。

中には「多すぎて何が何だかわからないよ~」って方もいるかと思います。

全ての機種は所有した事も無いですし、触ったことがある機種だけの紹介となりますが、これだけでも結構数があります。

  • ローライ35オリジナル(ドイツ製)・・・ドイツ生産で、基本色はシルバー、ブラックも少量作られたみたいです。ドイツ製でも時期により細かい仕様変更があるので良く調べてから購入しましょう。レンズは「Carl Zeiss Tessar40mm F3.5
  • ローライ35オリジナル(シンガポール製)・・・1971年からシンガポールに拠点を移しローライ製が各社からライセンスを取って作ったローライ35。基本性能、使い方等はドイツ製と変わらないレンズは「Made by Rollei 40mm F3.5」初期の物は「カールツァイス名の物もあります」
  • ローライ35T(シンガポール製)・・・上記ローライ35オリジナル(シンガポール製)と基本同じ。「T」はテッサーレンズの「T」。
  • ローライS(シンガポール製)・・・レンズが「ゾナー40mm F2.8 HFTコーティング」の高級コンパクト機であるローライ35の中でも最上級機種としての位置づけ。テッサー搭載の「T」と区別するためゾナーの「S」が付いた。
  • ローライ35TE、SE・・・上記「T」と「S」の後継機で、元々軍艦上部に露出計が付いていたが、ファインダー内にLEDで表示されるようになった。基本性能はそれぞれテッサー、ゾナーの物と全く一緒。

この位までが一般的に購入しやすい「ローライ35」のバリエーション。

その他「トリオター40mm F3.5」搭載のB35,C35、35LED、限定発売のローライ35等が有りますが、これについてはまた詳しく書きます。

それでも種類多くて何がイイかわからない・・・おすすめは?

基本的なカメラとしてのスペックは上記どれを使っても同じですが、それぞれちょっと違います。

その中でも個人的に一番おすすめの機種ですが・・・

ビビっっと来た好きな物を買いましょう!!!!

これじゃ困りますね(笑)

真面目に言うと・・・

シンガポール製のローライ35オリジナルかローライ35Tです!

理由としては、中古の値段が一番落ち着いていて、ローライ35の良さを余すこと無く堪能出来ますし、僕は「テッサーレンズ大好き人間」なので最初の一台はテッサー搭載のオリジナルがおすすめ。

もちろんドイツ製や、Sでも良いですが、値段が結構高いんです、、、、

目測式だったりと少し癖はある操作性なので、最初の一台であれば個人的には値段もこなれているシンガポール製のオリジナルのローライ35をおすすめします。

写りに関してはテッサーも、ゾナーもどちらも素晴らしいですし、それぞれ良さがあるので、それぞれ作例等を見て決めても良いと思いますし、このローライ35というカメラはスペック的にも「被写界深度」でスナップするのが一番使いやすいと思うんですよ。

もちろん「ボケ」を楽しむのもありで、その際はちょっとでも明るいゾナーF2.8の方がボケますが、SS最速が1/500なので日中開放を使う機会は余り無いですし、ぼかすにはなるべく被写体に寄る必要がありますが、目測機で開放、最短ピントを合わせるのは至難の業、、、

そして、スナップであれば絞り込むので、余りレンズの明るさは余り気にしなくてよいですし、中古で少し安く購入して整備に出すというのが一番良いかと思っています。

ローライ35TE,SEについては通常軍艦上部にある露出計が無くなり、デザイン的にもオリジナルとは雰囲気が変わっているので、よりクラシカルな雰囲気を味わいたいならTE,SE以前のモデルがおすすめ。

決してTE、SEが悪い訳では無く、写りは基本一緒ですので、余りこだわらず、上記に書いたように「ビビっと来たものを購入」するのも全然ありだと思います。

ローライ35の良い所、悪い所

この見出しでは僕がローライ35に対して思っている、「良い所」「悪い所」を5つずつ。

良い所

  • とにかくコンパクト(軽いとは言っていないw)
  • このボディーサイズで35mmフルサイズが撮影できる。
  • トリオター、テッサー、ゾナー全て素晴らしい描写。
  • とにかく見た目がクラシカルでカッコいい!
  • 大体のお店で修理可能で、長い間使える。

悪い所

  • 特に無し。

真面目に書きます、、、、、

  • ボディーサイズに対して重い、、、、
  • ちょっとぶつけただけで角がすぐヘコむ。
  • フィルムを入れていると電池交換が出来ない。
  • 値段が少し高め。
  • 撮影時の「お作法」が多く慣れないと面倒。※「お作法」については後述してます。
  • 目測ピント合わせにちょっとしたコツがいる。(目測ピント合わせのコツは別記事参照)

ローライ35カラー、モノクロ作例

今僕の手元にあるローライ35(ドイツ、シンガポールで両方テッサー)の作例をちょっとだけ。

この作例は今までも記事で紹介した物ばかりです。

全て写真をクリックすると拡大します。

ローライ35(シンガポール製)

写ルンです取り出しISO400フィルム

ローライ35(ドイツ製)

MARIX 400D

ここからモノクロ

ローライ35(シンガポール)

JCH STREETPAN 400

ローライ35(ドイツ)

MARIX 200

カラーでもモノクロでもキレの良いシャープな写りだと思いませんか?

そもそもカール・ツァイスのテッサーは「鷹の目テッサー」と呼ばれていてとてもシャープな写りが特徴のレンズです、3群4枚のレンズは「テッサータイプ」と呼ばれ世界中のカメラメーカーが真似して作っていますが、カール・ツァイスのテッサーこそオリジナルなので、なんだかロマンを感じますね、、、(´ー`*)ウンウン

ローライ35を使用する上での「お作法」について

このローライ35は使う上でちょっと「お作法」ともいえる使い方があります。

※この「お作法」を行わないと壊れるので注意して下さい。

  1. レンズを沈胴させるにはシャッターをチャージした状態で、軍艦上部のボタンを押しながらレンズを回しロックを解除してからレンズを収納させる。
レンズを沈胴させるときは軍艦上部スイッチを押し込みながらレンズを回し、ロックを外してから沈胴させます。

2.写真を撮るときは、レンズを引き抜いて矢印の方向に回してロックをかけてから使う。

レンズを引き出した後矢印方向に「カチっ」となるまで回してロックをかけてから使います。

3.巻き上げレバーがボディーに当たった時にキズが付かない様にするための「レバーアテ」が割れやすいので巻き上げの後「パっと」指を外さない。レバーは結構勢いよく戻っていきます。

巻き上げの後勢いよくレバーを離すとここの「レバーアテ」が割れたりします。この個体も割れていたのか交換してありますね。

4.絞りダイヤルの下部銀色のレバーを押し込みながら回さないとロックが歪んだり、壊れ、絞りは変化するけどクルクル回るようになってしまう。

絞りを変えるときはこのレバーを矢印方向に押し込みながら回します。

これ以外にも色々ありますが、ローライ35を使う上で絶対上記の事柄は守るようにしましょう、最初は面倒だと感じるかと思いますが、慣れてくると上記動作が「ルーティン」としてしみついてきます。

その他、フィルム装填していると露出計用の電池が交換出来なかったり、フィルム装填も裏蓋を自体取り外してするなど、ちょっと皆さんが思っているフィルムカメラとは操作性が違います。

→Rollei 35フィルム装填動画(僕のTwitterの投稿に飛びます)←

中古購入の際の注意点

ジャンクでもそれなりにしますし、自分で完璧にオーバーホール出来る人以外はちゃんとした店舗で動作確認済みで、出来ればオーバーホール済みの物を購入した方が絶対良いです。

余り状態の酷い物は厳しいですが、一通り動く個体であれば大体の修理業者さんではオーバーホールを受け付けてくれるので、ちょい不具合有の個体を安く買ってオーバーホール出して貰うのもいいかも。

オーバーホール料金は大体20,000円~が目安。

但しこれはパーツ交換無しの基本料金。

中古店で動作品だと大体シンガポール製で35,000円~、ドイツ製だと50,000円~位が相場っぽいですが、このローライ35は結構値段の振れ幅が大きいんです。

整備済みだともっと高くなってきます。

そもそも、最近中古の値段もじわじわ上がってきている印象、、、

メルカリや、ヤフオク等では大体中古店より約10,000円~位安いので、それを買って整備に出すのもあり。

ボディーにキズ多めだったりすると整備品でも安く出ていたりすることがありますので気長に探してください。

露出計は既にパーツが無く、不動の場合治せない事が多いですので、精度はともかく現状露出計が動作した物の方が良いかと思います。

露出計こそ電池を使いますが、それ以外は「フルメカニカル」のカメラなので、技術者がいれば一生直しながら使う事が出来るのも魅力ですね。

ローライ35を買ったら揃えたいもの

これは以前詳しく書いたのでそちらを是非ご覧ください。

現在新品で購入できるものばかり、更に自分自身使ってよかったものだけ紹介しています。

最後に

僕が愛してやまないカメラの一つ「ローライ35」について書いて行きました。

今年に入ってコンパクトカメラ熱が再燃し、久々に持ち出してヘビロテしていますが、やはりこのカメラ控えめに言って

「最高のフルメカニカルコンパクトカメラ」

「最高のコンパクトスナップカメラ」

だと思っています。

目測機という事で敬遠している方は是非一度使って、古き良き、ドイツの当時の技術が小さなボディーにぎっしり詰まった、フルメカニカルコンパクトカメラ「Rollei 35」を手にしてみてください。

コートのポケットに入ってしまう位コンパクトなので、サブカメラとしても、いつもバッグに入れておいて、常にカメラを持ち歩く事が出来ますし、目測機だからこその機動性や撮り方はスナップ向きですよ。

近いうちにローライ35に限らず、「目測機」の撮影のコツ等書いて行こうと思っています。

最後まで見て頂きありがとうございました。

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