2024年版 入手しやすい定番(僕的)モノクロフィルムの特徴と相場 まとめ
こんにちは「kio」です。
2024年1月時点で、入手しやすい定番白黒(モノクロ)フィルムをメーカー別にまとめてみた。
※金額については店舗や時期によって大きく変動しているが、ヨドバシ、Amazon、楽天市場や各ネットショップ等の大体の相場を記載。
※5/14日に行われたイルフォードの白黒用品値上げ(ケントメア含む)の価格改定に伴い値段を変更。
カラーネガフィルムについては下記記事をどうぞ。
カラーネガフィルム記事も2024年になった事だし、そろそろ更新するので待っていてね。更新済み!
是非最後までご覧ください。
はじめに
フィルムカメラをやっている皆さんはどんなフィルムを使ってるだろう?
基本的には一般的に「フィルム」といったら
「カラーネガフィルム」を連想すると思う。
でも、フィルムはカラーだけじゃなくモノクロフィルムもあるという事を忘れないで欲しい。
モノクロフィルムの魅力は沢山あるけど、自家現像が比較的簡単に出来る事、モノクロならではの表現や、被写体そのものの形、影、白から黒への美しいグラデーション、コントラスト、更には処理する現像液や温度、処理方法等で同じフィルムでも色々な表情を見せてくれる魅力的なフィルム。
今回は2024年現在で流通が安定していて購入が簡単な「モノクロフィルム」をメーカー別に集めてみたので使う際の参考にして欲しい。
カラーネガと違ってかなり種類も多いため、ここでは基本的に「定番(僕的に)」で、入手性が高めのフィルムのみの紹介としている。
そして、基本的にこのブログで紹介した、ここ2~3年で使ったモノクロフィルムの紹介となる。
ここで紹介した物以外でも無数に存在するので是非自分で探して使ってみて欲しい。
本記事では特殊フィルム(オルソ、赤外等)は紹介していないので、これから紹介するモノクロフィルム達は一般的な「皆さんが想像する普通の白黒フィルム」なので安心して使って欲しい。
尚、色々と専門用語的な言葉(旧乳剤使用の〜や、T粒子等)が所々あるが余り気にしないでも問題無いけど、気になる方はそれぞれ調べてね!
モノクロフィルム他にもまだまだあるので気が向いたら紹介していこうと思う。
下記から書いて行く各フィルムの名前をクリックすると、僕が実際使った該当フィルムの現像データ、作例、レビュー各記事をみる事が出来るので写りなどの参考に。
尚、ここに貼ってあるリンクの値段は最安では無いという事は理解して欲しい。
場合によってはリンクより安い所があるかもしれないので、そこらへんは各自調べて購入するのをおすすめする。
※次から僕的定番モノクロフィルムの特徴等を書いて行くけど、これは僕が感じた事であって、使う現像液、処理方法、スキャンナーの種類、スキャン時の調整等で描写、印象もガラッと変わっていく。
そこがモノクロフィルムの面白い所で、書いてあることが全てでは無いので世界中の色々な方の作例を見て自分で判断して欲しい。
富士フイルム
日本が世界に誇るフィルムメーカー(現状は、だったと言わざるを得ないけど、、、)
モノクロフィルムは下記で紹介する「ACROS Ⅱ」のみの販売となってしまった、しかも作っているのはイギリスのメーカー「ハーマンテクノロジー」(箱にはしっかりmade in Englandと記載あり)このハーマンは「イルフォードブランド」で有名。このイルフォードのOEMと思われる。
今現在完全国産のモノクロフィルムは存在しない、、、
- ACROS Ⅱ 36枚撮り1本約2,310円
ISO 100
富士フイルムが販売する今では唯一のモノクロフィルム。
T粒子(平粒子)タイプの超微粒子タイプのフィルム。
オルソパンクロマチックという他のモノクロフィルムとは少し違った特性を持つ。
超微粒子でシャープ、諧調も良く出るがコントラストは余り高くない。
値上げにより1本約2,300円となり気軽に使えなくなった、、、
Kodak(コダック)
世界一のフィルム製造量を誇るメーカー。
コダックといえばカラーもモノクロもフィルムカメラを使っている人なら確実に知っているであろう有名メーカー。
写りは素晴らしいが、いかんせん値上げで高くなり、気軽に手を出せなくなった。
- 400TX(ISO400) TRI-Xとも 36枚撮り1本約2,380円~
ISO 400
古くからある定番中の定番フィルム。
旧乳剤使用のトラディショナルタイプ。
モノクロフィルムといったらこれ!!位有名。
粒子感、コントラストも処理によっていろいろな表情を見せてくれる。
ISO3200位に増感した時のコントラストや粒状感が好きでよく使っていた。
今年になって値下げしたが、それでもまだ高級フィルム、、、、
数年前にレシピが変更されたのか写りが変わったといわれている。作例は旧TRI-X
- T-MAX 400&T-MAX 100 400は36枚撮り1本約2,550円~、 100は36枚撮り1本約2,850円~
ISO 400とISO 100
コダックが開発したT粒子(平粒子)を持つフィルム。
超微粒子で超シャープで諧調も豊か。
専用のT-MAX現像液で現像する事が推奨されているが、他の現像液でも現像は可能。
これも値段が大幅に上がった、、、
正直このT-MAXシリーズは余り使ってこなかったが、コダックの定番として紹介しておく。
作例は探してみて欲しい。
FOMA(フォマ)MARIX/ARISTA EDU等
FPMAはチェコ共和国で製造される100年以上前からある老舗のメーカーで、各メーカーにフィルムを供給している。
僕が大変お世話になっている「MARIXフィルム」のモノクロも中身はフォマパン各種を使っている。
比較的手に入れやすく、今国内で流通しているモノクロフィルムでは最安クラス。
フィルム外箱に「made in チェコ」と記載があればほぼ確実に中身は「フォマパン」。各種長巻での販売もあり、長巻10,000円以下で購入できる。
フィルムローダーを持っている方であれば各種長巻を購入して36枚撮り18本取れれば36枚撮りあたり1本550円で今流通しているモノクロフィルムとしては最安値なので是非長巻をおすすめしたい
- FOMAPAN 100/MARIX 100/ARISTA EDU 100等 36枚撮り1本約1,000円~
ISO 100
昔ながらの旧乳剤を使用したトラディショナルタイプのモノクロフィルム。
コントラスト高めで、なんだか古臭い写り(褒めてる)になる。
- FOMAPAN 200/MARIX 200/ARISTA EDU 200等 36枚撮り1本約1,200円~
ISO 200
フォマパンシリーズではこの200だけがT粒子を使用
T粒子といってもそこまで微粒子感は無い。
コントラストは程々で、一段増感して使うと気持ちの良いコントラストが乗ってくれる。
- FOMAPAN 400/MARIX 400/ARISTA EDU 400等 36枚撮り1本約1,100円~
ISO 400
旧乳剤使用のトラディショナルタイプフィルム
ちょっと曰く付きのフィルムで実効感度が400出ていない。
これは色々と検証している方がいるが皆さん同じ見解で、濃度測定したところISO125(D-76 1:1での結果)しか出ていないとか、、、、僕は基本ISO200位で使うときが多い、400で使う時は増感として扱っている。
写りは一般的な旧乳剤のトラディショナルタイプで、太陽光の下だと結構コントラストも高くなる。
粒状感もそこそこで、日陰や室内などでは「じめっ」とした雰囲気に写る気がする。
ILFORD(イルフォード) ハーマングループ
イギリスのフィルムメーカー「ハーマンテクノロジー」
イルフォードブランドで各種モノクロフィルムを製造販売。OEM生産をしている。
先述した「富士アクロスⅡ」もこのハーマンテクノロジーのOEMと言われている。
イルフォードのフィルムはヨドバシ等、モノクロフィルムを扱っているお店での取り扱いが多く、常に安定して供給されている印象がある。
- DELTA 100、 400 共に36枚撮り1本約
1,500円~→1,690円
ISO 100とISO 400
T粒子採用のフィルムで、超微粒子でシャープネスが高いのが特徴。
コントラストは程々で階調も豊か。
400は最近使ってない、、、
・DELTA 3200 36枚撮り1本約1,590円~→1,760円
ISO3200
超高感度のフィルムで、デルタシリーズでは唯一T粒子では無い。
3200とあるが実効感度は大体1250位だと思われる。
処理でISO12500まで増感可能。
超高感度なので、夜の写真や暗い室内等で使うと恩恵を受ける事が出来る。
・FP4 Plus 36枚撮り1本約1,300円~→1,460円
ISO 125
旧乳剤使用のトラディショナルタイプの中庸感度のフィルム。
コントラストは普通、諧調性、シャープネスが高く微粒子で使いやすい。
・HP5 Plus 36枚撮り1本約1,300円~→1,460円
ISO 400
こちらも旧乳剤使用のトラディショナルタイプ。
特徴はFP4と似ていて、諧調が良く出て、微粒子、シャープでコントラストは普通。
感度はISO400でそこそこ増感耐性がある。
・XP2 SUPER 36枚撮り1本約1,210円~→1,690円
ISO 400
このフィルムは普通のモノクロフィルムとは違って、カラー現像(C-41)するネガィルム。
詳しくない方は何を言っているかわからないと思うが、「普通に写真を撮ると白黒画像が出て来るネガフィルム」と思って使って貰って大丈夫。
一般的なモノクロフィルムとは違って大手カメラチェーン等でも普通のカラーネガフィルムと同じ様に当日仕上げ、金額もカラーネガフィルムと同じで現像してくれる。
正直、最近使った記憶が無いが、入手性は高く安めで、尚且つカメラチェーン店の当日仕上げで現像してくれるので、モノクロの画が欲しい場合使ってみるのも良いかもしれない。
当サイトでは作例等は無いので「XP2 SUPER作例」等と検索してどんな感じか調べて欲しい。
・ KENTMERE PAN100、400(オリエンタルニューシーガル) ケントメア100、400共に36枚撮り1本約990円~→1,030円
ISO 100とISO 400
ハーマンテクノロジーに買収されハーマングループとなった「ケントメア」
オリエンタルニューシーガルの中身はケントメアと言われている。
400は余り使ってこなかったが、100とにかく軟調になるイメージ。
柔らかい描写で諧調性は良い。
このケントメアシリーズも比較的安価で購入しやすい。
因みにオリエンタルニューシーガル100は1,250円、400は1,310円(共に36枚撮り)
JAPAN CAMERA HUNTER (ジャパン カメラ ハンター)
JCH(ジャパンカメラハンター)は2011年にカメラ販売サイトとして「ベラミーハント」によって設立された。
2024年現在は中古カメラ、オリジナルフィルム、オリジナルカメラ用品等の取り扱いがある。
・JCHストリートパン400 36枚撮り1本約1,500円~
ISO 400
「JCHストリートパン400」はとにかくコントラストが高いフィルム。
粒状感も多めで、このフィルムでストリートスナップを撮るとなんでもそれっぽく撮れてしまう。
ハイライトは飛び、シャドーはストンと落ちるメリハリのある白黒画像が得やすい。
個人的には大好きなフィルム。
日本国内ではJCHの公式サイトやマップカメラ、サンアイ等で取り扱いがある。
決して定番の入手性が高いフィルムでは無いが、個人的に好きなので入れて置いた。
Rollei(ローライ)
ローライフレックス、ローライコード、ローライ35等の数々の名機を世に送り出してきたカメラメーカー。
実はフィルムも販売している。
但しローライが製造している訳ではなく、他メーカーからのOEM供給と思われる。
・Rollei RPX 100 36枚撮り1本約1,280円
ISO 100
コントラストは高め。
粒状感も良く、気持ちの良い黒が出てくれる。
一度間違ってISO800で撮ってしまった事があるが800まで増感しても大丈夫だった。
一時期長巻を手に入れて暫く使っていた。
購入はかわうそ商店が一番安いと思う。
AGFA(アグファ)
モノクロ現像液で有名な「Rodinal(ロディナル、ロジナール)」を製造したメーカーとして有名。
カラーフィルム等の販売も行っているが、今は自社製造はしていないと聞いた。
・AGFA APX 100 36枚撮り1本約1,040円~
ISO 100
数年前長巻で買って使っていたが、普通過ぎて余り印象に無い(好きな方ゴメンナサイ)
・AGFA APX 400 36枚撮り1本約1,070円~
ISO 400
これも長巻で買って一時期使っていたが、増感したり、イエローフィルターを使わないとコントラストも余り高くなく、これといった特徴が無いフィルムだと思った。
諧調は出てくれるので綺麗なグレートーンを狙うのには良いかもしれない。
APXは100、400共に値段の幅がかなり広いみたい。
そして商品説明を見ると、「乳剤が新しくなった、、、」と書いてあるが、僕が使っていたのはどちらなのか不明。
まとめ
とりあえず僕が良く使っている(使っていた)入手性が高いモノクロフィルムをまとめてみた。
今回紹介したフィルムは基本35mm判(皆さんが思い浮かべる一般的な「フィルム」の事)だが、大体の銘柄では120(ブローニーとも言われ、主に中判カメラで使われる)も販売している。
120の場合は少し特徴や、値段が変わってくるので注意してね。
最初にも断っているけど、本当にモノクロフィルムって無数にあり、それぞれ現像処理等で同じフィルムでも色々変わってくる。
モノクロ現像は大手カメラチェーンでも受け付けてくれるが、外注扱いとなり、カラーより日数、金額も高くなる傾向があるので注意が必要(XP2 SUPERは別)
個人的には「自家現像」を推したい。
自家現像は増感現像(表示のISOより高いISOで撮影して現像する事)も思いのまま。
でも、自家現像と言うと
「暗室必要なんでしょ???」
と言われる事が多いが、モノクロネガフィルムの現像であれば必要ない。
自家現像に使う道具や、方法等も一通り書いているので興味がある方は是非見て欲しい。
「①~③+現像データの読み取り方」がの記事を書いているけど、やってみたい方で上記記事を見て、不明な点があれば遠慮なく問い合わせか、X(旧Twitter)「アカウント@GIBSONSGSG2021」もやっているのでなんでも聞いて欲しい。
現像が終わったら、フィルムスキャナーを使ってデータ化したり、ネガからプリント等をして貰って楽しむ事が出来る。
更に、「フィルムローダー」という道具を使うと長巻100ft(約30m)程の物を自分で切り分けて使うと36枚撮りが約18本ほど作れ、1本あたりのコストも大幅にカット出来る。
最安のフィルムを使うと36枚撮り1本あたり約「550円」程度までコストが下げられる。
本当は本格的な暗室を作って手焼きプリント迄やりたいけど、流石にそこまでは出来ないが、フィルムの現像とスキャンだけでも大分フィルムライフが豊かになっている。
自家現像は案外ルーズに処理しても何とかなるのは実証済みw
だって「インスタントコーヒー」と「ビタミンC(アスコルビン酸)」でも普通に現像できるんだよw
今フィルムが高騰して手に入り辛くなって来てはいるが、モノクロフィルムはまだまだ種類も多く、何とか購入出来る金額なのでフィルムカメラを持っている方や、これからフィルムカメラを始めようとしている方にも是非使ってみて欲しい。
実際海外ではモノクロフィルムってかなりメジャーで人気があるんだけど、日本ではどうしてもカラーの方が人気があるんだよね。
勿論カラーも良いけど、是非一度モノクロフィルムで写真を撮ってみてはいかがだろうか?
今年は余り使って来なかったり、使った事が無いモノクロフィルムを使ってみたいと思う。
最後まで見て頂きありがとうございました。
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