MARIXカラーリバーサルフィルムE100をC-41クロスプロセス現像してみた。
こんにちは「kio」です。
前々回の記事で予告していた「MARIXカラーリバーサルフィルムのクロスプロセス自家現像」が終わったので今回はそちらの紹介。
クロスプロセス現像ならではの「現実ではありえない色味」がちゃんと出てくれたのでそちらを見て貰おうと思う。
是非最後までご覧ください。
※このカラーリバーサルフィルムのクロスプロセス現像はフィルム、現像液共にメーカーが想定している使用方法の範囲外となり、推奨されている現像方法ではありませんので、試される方は「適正な使用方法ではない」という事を理解した上で試してください。
クロスプロセス現像って??
まず最初に「クロスプロセス現像」って何???と思う方もいると思うので簡単に説明するね。
これについては皆大好き「wikipedia-クロス現像」に詳しく載っていたのでそちらを引用させて貰う。
クロス現像(クロスげんぞう)、クロスプロセス(英語: Cross processing, 略称英語: Xpro)は、銀塩写真フィルム(銀塩写真・写真フィルムを参照)、特にカラーのそれの処理において、リバーサルフィルムをネガ現像の工程で、あるいはネガフィルムをリバーサル現像の工程で現像する方法である[1]。色合いやコントラストに本来と異なる像が現れることを意図する手法である[1]。白黒ネガフィルムを白黒リバーサル現像することは、カラーの場合ほど特殊な意味は無いので、特に「クロス現像」と呼ぶことはあまりない(→白黒リバーサルフィルム)。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
上記説明にもあるけどクロスプロセス現像は「カラーリバーサルフィルム×C-41現像(カラーネガフィルムの現像処理)」または「カラーネガフィルム×E-6現像(カラーリバーサルフィルムの現像処理)」を行う事によって実在しないような独特の色味や、高いコントラストが得られるんだけど、カラーネガフィルムをE-6クロス現像は余り一般的では無く、「カラーリバーサルフィルム×C-41クロス現像」というのが広く行われている。
そして今回はMARIXカラーリバーサルフィルムをMARIX C-41現像キットを使ってクロスプロセス現像をしてみた。
このクロスプロセス現像はC-41自家現像をやっている方であれば簡単に行う事が出来る。
言葉で「クロスプロセス現像」と聞いてもいまいちピンとこないと思うから、何はともあれカラーリバーサルフィルムをC-41クロスプロセス現像した写真を見て貰う。
MARIXカラーリバーサルフィルムC-41クロスプロセス現像作例
使用カメラ:OLYMPUS OM-2N(予告ではNikon F2の予定だったけど、急遽OM-2N全オートで撮影)
レンズ:G ZUIKO Auto-W 35mm F2.8
フィルム:MARIXカラーリバーサルフィルムE100
現像処理:MARIXC-41現像キット
現像データ:現像38℃ 3´30(30/30/4)/漂白36℃ 8´00(30/60/4)/定着35℃ 6´00(30/60/4)
スキャン:EPSON GT-X830自動
コントラストが高く色もコッテリ
背景の街並みが青く
黄色が特に伸びている様に感じた
ピント面以外の背景の菜の花の輪郭が滲み背景も青くなっている
室内での物撮り。赤は実際よりもくすんでいるが、背景は青くなっている
こちらはカラーペン。全体的にコントラストは上がり、やはり黄色がとても伸びている
立ち枯れしたアジサイだが、手前ピント面以外は上の菜の花と同じで輪郭が青く滲んでいる
飲食店通りの電柱と空。全体的に青の色カブリっぽい色味に
ビルの階段。青とグリーンの中間の様な独特の色味に
路地の壁面の壁画だがやはり黄色は彩度もマシマシ
駅近くのショップのウィンドゥ
工事中のビルのガラス窓は空を反射して塗りつぶしたような色に、空もターコイズブルーになった
やはり空はターコイズブルー、黄色は鮮やかコッテリだ
色が多い物を撮ると、なんだか別世界の様な印象に
裏路地
ビルとビルの隙間も色味が大きく変わっていつもとは違う場所の様な錯覚を覚える
自動販売機だが、本当はもっと鮮やかな明るい青だが、濃く、コッテリした青になった
傘立て。札の色も本体の色も実際の色とはかなり変わって写っている
この写真は明暗差があったので空は白く飛んでいる
青やグリーンに色味が変わっている
元がカラーリバーサルフィルムなのでオーバー側のラチチュードは狭く、明るい所は白飛びしている
室内の色も大きく変化した
銅像とバックにはサザンカの木とビル。ビルの白壁も青く塗りつぶしたようになり、緑も独特の黄色みが掛かった感じに
緑や青に色が変化している
ネコさんの毛先も青白く滲んでいてオーラが出ているみたいだ
と、ここまで作例沢山見て貰ったけど、通常のカラーネガフィルムでは出ない色味と高いコントラストなのがわかって貰えたかと思う。
特に「菜の花」や「アジサイ」の写真なんかはピント面以外の背景の花の輪郭がボヤっと滲んでいて物凄く異世界感が出ていると思うし、なんだかアクリル絵の具で描いたポスターみたいにも見え、実際の色とは全然違う色味に変化している。
合わせてコントラストも高くなっており、このプロセス現像ならではの雰囲気になっている。
色別にみると、黄色は彩度が高く、赤と青は逆に彩度は落ちた、緑は黄緑っぽくった傾向が今回の現像では感じた。
クロスプロセス現像に必要な物と、その工程。
クロスプロセス現像を行うに当たって使う物
- 撮影済みのカラーリバーサルフィルム
- C-41現像剤
- 小型タンクやダークバッグ等の自家現像で使う道具一式
基本これらがあればクロスプロセス現像は可能。
そして、MARIX C-41現像剤での通常の処理は基本38℃3´30だが、クロスプロセス現像でも時間延長等は特に行わず処理を行った。
漂白と定着は何となく通常より+1分時間を取って処理してみたが、問題無く処理する事が出来た。
MARIXカラーリバーサルに係わらず、どのフィルムでも現像液の標準現像時間のままで処理しても問題無い。
MARIX C-41現像については以前書いた記事を見て欲しい。
今回使った「MARIXカラーリバーサルフィルム」と「C-41現像キット」はマリックスの公式オンラインショップや公式メルカリ販売ページより購入する事が出来る。
カラーリバーサルフィルムをクロスプロセス現像した際の注意点
注意点としてはカラーリバーサルフィルムをC-41クロスプロセス現像すると出て来る画は「ネガティブ(陰画)」になるという事。
通常カラーリバーサルフィルムを正しく処理すると下記写真の様に反転していない「ポジティブ(陽画)」が得られる
この「ポジティブ(陽画)」こそがリバーサルフィルムの醍醐味の一つでもあり、ライトボックス等の上に置いてそのまま鑑賞する事が出来る。
しかし、元のフィルムはカラーリバーサルフィルムを使っていても、C-41でクロスプロセス現像すると出て来る画は「ネガティブ(陰画)」となり、スキャナーなどで取り込んで反転させないとそのままでは写真として楽しむことは出来ない。
なのでリバーサルフィルムであってもC-41クロスプロセス現像すると出て来る画は「ネガティブ(陰画)」「ネガそのものをそのまま鑑賞する事は出来ない」という事は理解しておこう。
あと一つの注意点は「ラチチュードはリバーサルフィルムのままで狭い」という事。
一般的なカラーネガフィルムは多少のアンダーやオーバーにも強く、特にオーバー側には数段の余裕があり、露出を外しても像や色はそれなりに出てくれるんだけど、リバーサルフィルムは露出の寛容度が低く、特にオーバーだとすぐに白飛びしてしまうという特性を持っている。
クロスプロセス現像はC-41処理ではあるが元はカラーリバーサルフィルムなので、ラチチュードも狭く、特にオーバーに撮ってしまうと作例でもあったがすぐに白飛びしてしまうのでそこはいつもより露出には気を使って、気持ちアンダー目に撮った方が良い結果に繋がると思う。
最後に
MARIXカラーリバーサルフィルムをMARIX C-41クロスプロセス自家現像をしてみたので沢山の作例と共に記事を書いてみた。
このクロスプロセス現像は作例の通り実物とはかけ離れた色味、コントラストが出て、どのように色が転ぶかも予想しずらくとても特徴のある面白い処理方法ではある。
しかし、今回使ったカラーリバーサルフィルムはまだまだ期限内の物でだったので正直そのままリバーサルフィルムとして処理して使った方が良かったな?とも思ったりもしたが、試したくなったのでしょうがない・・・・でも皆さんは期限内のリバーサルフィルムは値段も物凄く高くなっているし余りおススメはしないかな。
期限切れとかのリバーサルフィルムを手に入れた時などで、いつもと違った表現を試したくなった時などには是非一度やって欲しい処理ではある。
今回MARIX C-41現像キットで処理したけど、「クロスプロセス現像」処理を受け付けてくれる写真店もまだあるので、自家現像の環境が無い方大丈夫。
今回はやらなかったけど、クロスプロセス現像は多重露光なんかともとても相性が良いのではないかと思う。
色が大きく変化するので、多重露光と上手く組み合わせると更に異世界感がました面白い表現が出来るんじゃないかな。
ちょっと通常とは違う使い方ではあるが、カラーリバーサルフィルム×C-41現像の「クロスプロセス現像」機会があれば一度は試してみて欲しい現像方法だと思った。
最後まで見て頂きありがとうございました。