【フィルムカメラレビュー】不人気?名機?のミノルタフラッグシップ機「MINOLTA α-9xi」
こんにちは「Kio」です。
先日書いた記事「MINOLTA α-7700i」を使って改めてミノルタαシリーズの良さに触れ、最近またプラカメ熱が上がって来た。
【ジャンクカメラで遊ぼう】レンズセットで約2,000円遊べるMINOLTA α-7700i/AF ZOOM 35-70mm F4
そこで今回は「不人気の迷機?」として名高い【MINOLTA α-9xi】のレビューを書いて行こうと思う。
是非最後までご覧ください。
その他【フィルムカメラレビュー】沢山書いているので是非!
https://photowalk56.com/category/%e3%83%ac%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc/%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%ab%e3%83%a0%e3%82%ab%e3%83%a1%e3%83%a9%e3%83%ac%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc/ミノルタフィルムαシリーズの世代について
ミノルタαシリーズは大きく分けて第五世代まである。
因みに「α=アルファ」と呼び、ミノルタαシリーズは「Aマウント」のレンズを使用する。
第一世代 1985年~
- α-7000
- α-9000
- α-5000
第二世代 1988年~
- α-7700i
- α-3700i
- α-5700i
- α-8700i
第三世代 1991年~
- α-7xi
- α-3xi
- α-5xi
- α-9xi←今回紹介するカメラ
第四世代 1993年~
- α-707si
- α-303si
- α-507si
- α-101si
- α-807si
第五世代 1998~
- α-9
- α-7 等
※その他α-Sweetシリーズや、派生モデルも多く存在する。
1992年当時のカメラは?
今回紹介する【α-9xi】は第三世代のミノルタフラッグシップ機となり、発売は1992年。
1992年というとCanonはEOS 5QD、ニコンはF90が発売された年だ。
僕はこのEOS5 QD、F90(僕のはF90X)両方ともまだ現役でバリバリ使っている。
どちらのカメラも【ハイアマチュア向け中級機】という位置づけのカメラで、当時であればキヤノンはEOS-1、ニコンはF4がフラッグシップとして君臨している時代であり、これらのカメラはフラッグシップに次ぐ機種で、プロカメラマンがサブ機として使っていたらしい。
その当時ミノルタのフラッグシップ機は【ミノルタα-9000】があったが、EOS-1、F4と比べるとスペックはかなり低かった。
そんな中ミノルタが送り出したフラッグシップ機が今回紹介する【α-9xi】
各カメラメーカーはフラッグシップ機の名前に
- Canon=【1の数字】
- Nikon=【1〜6 のひと桁の数字】
- MINOLTA=【9の数字】
といった具合に、フラッグシップナンバーを与えている物が多かった。
そんな中登場した【ミノルタ α-9xi】はミノルタのフラッグシップナンバー「9」を与えられ、シェアが落ち込んでいたミノルタにとって生き残りをかけた機種であった事は容易に想像できる。
しかし、このα-9xi、、、、当時かなり酷評され大コケしたらしい、、、、
MINOLTA α-9xiは何故不人気だったのか?
α-9xiは何故不人気機種だったのか?
当時の事はリアルタイムで経験していないので色々な方からの情報や、ネット等の意見をまとめてある。
主に不人気の(だった)理由として
- xiシリーズそのものが「全自動」に焦点を当て開発されているので、ウリでもある各種機能が使い辛い、邪魔、いらない
- ファインダーが見え辛い
- プラ外装が安っぽい
- 見た目がダサい
- 操作性が悪い
- グリップの白化、加水分解
この辺りの意見が多く見られた。
これについて、僕が実際に使ってみて感じた事を書いていこうと思う。
不評?と言われている事を考察
上記に書いた6つの不評、これらを一つづつ実際に使ってみてどう感じたか書いて行こうと思う。
1.xiシリーズそのものが「全自動」に焦点を当て開発されているので、ウリでもある各種機能が使い辛い、要らない、邪魔、、、
うーん、、、これについては良い所も、悪い所も含んでいると思う。
xiシリーズはα-7xiも所有しているが、具体的にどの機能が不評だったかと言うと、、、
- グリップセンサーに触れながら握ると、ファインダー部に付いているアイセンサーが動作し、自動露出とピント合わせが構えてファインダーを覗いた時には完了している「ゼロタイムオート」=一見便利そうな機能だが電池消費が多く、AFも普通に速いので別に要らない、、、※機能オフに出来ないので僕はグリップセンサー部分にパーマセルテープを張り通電をカットし、強制的に動作しないようにしている。
- xiズームレンズとの組み合わせで電動ズーム「パワーズーム」=自分で回させて欲しい、、、※xiズームでは手動でのズームが出来無く、MFも電動。
- xiズームレンズ使用時に、撮影距離に合わせて構えた時に被写体が適当な大きさになるように自動でズーミングする「オートスタンバイズーム(ASZ)」=自分で決めさせて欲しい、、、、※機能オフに出来る。α-9xiではこの機能は最初から無い。通称=勝手にズーム
- 近づいて来る、遠ざかって行く被写体をほぼ同じ大きさで写る様に、レンズが自動的にズーミングする「イメージサイズロック」=これも自分でやらせて欲しい、、、※機能オフに出来る。
- 撮影する画面の周辺を確認する事が出来る「ワイドビューファインダー」=レンズのワイド端では使えないし、別に要らん、、、※機能オフに出来る。
- 「インテリジェントカードシステム」=データメモリーカードやカスタムカード等は実用上便利だが、その他「ポートレートカード」「クローズアップカード」等の、現在でいう「カスタムコントロール、ピクチャーコントロール」の様な機能は完全な初心者以外余り意味が無く、更にカードは一枚づつしか効果を使えないのも不便、、、、※カードを使わなくてもカメラの基本的な機能は使えるので問題無し。
と、完全にカメラ任せで綺麗に撮れるぜ!!!!ドヤッ!!!と押し付けられているかのような、先進的で、とてもおせっかいな機能盛りだくさんだったのがこの第三世代のxiシリーズである。
各種機能の説明を見て頂いて、多くの人は
「イラン、、、邪魔、、、、」と思った事だろう、、、、、
実際、当時としては先進的?な機能ではあったが、写真のズーミング、構図までカメラが勝手に行い、ゼロタイムオートも動作していると電池の持ちも悪くなり、多くのカメラマン、写真愛好家の間でも賛否両論(否定的な意見の方が多かったようだ)があったみたい。
しかし、これらの機能は「撮影に慣れていて、自分の撮りたい写真をコントロール出来る(したい)」という人には不要の機能ではあるが、それ以外の方にとっては有り難かっのでは?とも思うが、フラッグシップであるα-9xiだからこそ言われているんだろうと思う。
2.ファインダーが見え辛い
ミノルタのアキュートマットスクリーンは明るいのに、スクリーンとプリズムの間に各種情報表示用の「液晶」をが組み込んであり、そのせいでやや暗く、モヤッとした感じとなってしまっている。
但しコレは各種情報がファインダー内に集中しているので、ファインダーから目を離す事なく右手だけで操作を行う事が出来るので、良し悪しではあるだろう。
実際僕は使っていてそんなに気にはならなかった。
3.プラ外装が安っぽい
こちらは、所謂「プラカメ」等と呼ばれ一部の間では忌み嫌われてるが、同じフラッグシップであるキヤノンEOS-1、ニコンF4もプラ外装であり、エンジニアプラスチック製のカメラが主流となっているので時代的な背景もあるかもしれない。
こよプラ外装は好みの問題はあれど、強度も十分であり、軽量化、デザインの自由度という点では僕は全然アリだと思っている。
ミノルタα-9xiは外装こそプラだが、ボディーフレームはダイキャストで持っていて華奢な感じは受けない。
因みに僕は「プラカメ」はコンパクトカメラも一眼レフも大好き!
4.見た目がダサい
もうこれは完全に好みだろう。
α-9xiのデザインは第二世代の7700iこら引続き、バイクのSUZUKIカタナをデザインした「ハンス・ムート」。α-7700iとごっちゃになってしまった(;・∀・)僕の勘違いでした、、、ゴメンナサイ。
エルゴノミクスデザインで、曲線を多用したその姿は僕はとても好き。
丸みを帯びた愛くるしい見た目はプラスチックならではの造形だと思う。
ペンタ部が丸く、なで肩で、横長の姿は愛くるしくとても良いデザインだと思うのだが、発売当時はこれまた不評だったらしい、、、
5.操作性が悪い
このα-9xi(ミノルタα全般)は操作系がちょっと特殊。
背面も含む本体にはボタン類は少なく、大体の操作は背面右上にある「FUNC」ボタンを介して行う。
ファインダーから目を離す事無く「撮影モード変更」「露出補正」「測光方式」「ピント位置」等がボタン1つと、前ダイヤル、後ろダイヤルだけで完結する。
これらの操作は慣れるととても簡単に操作できる一方、「セルフタイマー」「ドライブモード」「ISO設定」や、「インテリジェントカード」の余り変更しないであろう機能の設定等はボディー横のカードホルダーを開けてからいちいち行わなくてはいけないし、このカードホルダーのヒンジ部分がボディーに対してやたら弱そうで、なんだか開閉を繰り返すのは怖い。
一応「Q(クイック)ボタン」に機能を1つだけ割り当てる事が出来る。
ボタンが少ないが故に、逆に操作系がとても複雑になっているように感じる。
ただ、プログラムモード中に前ダイアルでシャッタースピードダイヤル優先、後ろダイアルで絞り優先モードへ即時に切り替わる「プログラムシフト」があり、「P」ボタン一つで即時プログラムモードに復帰出来る、これはペンタックスでいう所の「ハイパープログラム」と同等の機能でとても便利。
ここまで色々と言われている「不人気」の理由を書いていたが、これはあくまで「プロの使用を想定したフラッグシップ機」が故に言われていたんだろうと思われる。
確かに、ターゲットであるプロやハイアマチュアにとって要らない機能が盛り沢山な感じは否めないが、今の時代フィルムを楽しむには問題無いと思う。
6.グリップの白化、加水分解
グリップ周りに関しては、フィルムαシリーズはどうしようも無い、、、
発売当時はミノルタも、まさかこんなことになるとは思っても見なかっただろうが、今となってはα-9xiだけでは無く、フィルムα機全般でグリップの白化と、加水分解の問題がつきまとう。
更にこのα-9xiは底部にもゴムがあり、この部分の加水分解も気にしなくてはならない。
と、ここまで不人気の(理由)をつらつらと解説してきた。
実力派のカメラ!!
しかし、不人気とは言ってもミノルタα第三世代フラッグシップ機!!
このα-9xiには一つ大きな称号がある!
「世界初シャッタースピード1/12000」を実現!
12000分の1秒ですよ!!!
各社フラッグシップや、それに準じるカメラでも大体1/8000なのでとんでもない事!
でも、別に1/12000あってもそこまで使わないんじゃ?1/8000で十分なのでは???
精度はどうなの??
使わない?1/8000で十分?精度???
違う!!!!
ちがぁ〜う!!!
使うかどうか?精度なんて関係無い!!!
ロマンなんだぁ〜
!!!!!!!
ハッ(;・∀・)取り乱してしまった、、、、
皆さん、レンズのF1.4やF1.2を思い出して欲しい。
フィルムカメラを使っている人であれば開放でF1.4や1.2を使える場面なんて余り無いよね?
でも大口径のレンズってナンカカッコイイじゃん!!!!
そういう事なんだよ。
、、、、、、、、何が???
冗談はさて置き、実際「世界初のシャッタースピード1/12000」というのがこのα-9xiのわかりやすい最大の特長ではないかと思う。
このあと発売されたミノルタα-9には1/12000シャッターが搭載されているが、フィルム機で1/12000 を達成したのはミノルタだけなのである。
これは紛れもない事実!!
フィルム機でドピーカンの日中開放付近の絞りがバシバシ使える!(僕は開放余り使わないんだけど(;・∀・))
その後発表されたニコンF5、6も、Canon EOS-1vもこの1/12000 には届かなかった。
技術的に難しかったのかどうかはわからないが、先にも言ったように
使うか使わないか?
必要か?
そんなの関係無い!
ロマンなのだ!!
実際このシャッタースピード1/12000が、このα-9xiのアイデンティティーであり、フラッグシップとしての威厳を保つのに大きく貢献していると思う。
更に、シャッタースピードが注目されがちではあるが、実際プログラムシフトの使い勝手の良さ、視度調整機能付き、ストロボ同調速度1/300、14分割ハニカム測光の正確性、シャッターフィーリング等もとても素晴らしく、初心者から扱いに慣れている人まで操作だけ覚えてしまえば安心して使う事が出来る「実力派」の良いカメラだと思う!!
α-9xiで撮影した写真
ここまでごたくを並べてきたが、ここで少し落ち着いてもろて、α-9xiで撮影した写真を見てもらおう。
※青みが強いのはタングステンフィルムであるMARIX 320Tで撮影したから。
レンズはTAMRON SP AF 28-75mm F2.8 XR Di [IF]でMARIX C-41自家現像、無補正データ化している。
ちょっとブレたwww
アジサイもこれから
狛犬さんの顔でスポット測光して撮影
河原の土手を歩いていると必ずどこかに「缶コーヒー」「ストロングゼロ」が刺さってる、、、
夜の散歩スナップ
ストロボでの撮影
鏡の前に置いてセルフタイマー撮影
ここまでの写真は全てプログラムオートか絞り優先オートでの撮影。
α-9xiを買うには?中古相場は?
1992年発売なので2024年現在32歳のこのカメラ。
基本的には中古での購入となる。
中古相場は、、、色々調べたがかなりバラつきがあるようだ。
αシリーズのグリップ崩壊具合により、ピンキリの値段なのである。
大体中古店で動作品では7,000円~15000か円、オークションやフリマサイトでも大体同じ位
不人気だったからか、出物は余り多くは無く、大体がグリップの白化があるものばかり。
そして、これも不人気の理由の一つかもしれないが、このカメラある意味定番の2CR5リチウム電池を使う、、、
但し、α-9xiにはバッテリーグリップがあり、それを使えば単三電池で駆動させることが可能。
バッテリーグリップの型番は「BP-9xi」で、結構中古の個体についている物も多いが、単体で探すとやたら高いうえに中々見つからない、、、
僕はバッテリーグリップを探しているがなかなか見つからない、、、、
もしバッテリグリップが欲しいのであれば最初からセットされた個体を探すのが良いと思う。
インテリジェントカードも中古でちょいちょい見かけ、高くても1枚500円あれば買えると思うが、「カスタムカードxi」「データメモリーカード2 」「ファンタジーカード2」辺りは中々見つからない。
インテリジェントカード各種は機種によって使えるカードが違うので気を付けて欲しい。
最後に
ここまでミノルタ第三世代フラッグシップ機である「α-9xi」について色々書いてきたが使っていてとても気持ちが良くサクサク安心して撮れる良いカメラだと思った。
色々と評価が分かれるカメラではあるし、当時は確かに不人気だったのかもしれないが、今現在使ってなんら不便は感じないし、案外シャッター音も重厚感があり好きだったりする。
電子カメラなので、いつまで使えるかわからないし、グリップ迄綺麗な個体を探すのは中々に大変ではあるが、色々な方の報告を見ているとハー〇オフの青箱に転がっていた、、、なんて話も聞くのでリサイクルショップ等で他のαシリーズに隠れて見つかるかもしれないwww
以前の記事で「自分が使って納得出来ればそれは名機(銘玉)」みたいな事を書いたんだけど、このα-9xiも僕にとっては名機の一つだ。
9xiには最近手に入れた「ファンタジーカード2」を入れてモノクロで撮っているのでどんな感じになるか楽しみ。
最後まで見て頂きありがとうございました。
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