【モノクロ現像データ】JCH STREETPAN 400/Rojinal 1+100 90min静止現像/minolta V2 [静止現像をする意味はあるのか??]
こんにちは「kio」です。
本日は久々にロジナールで「静止現像」したのでそちらの現像データと作例。
先日やっと約10年かかってロジナール500mlを1本使い切って新しいロジナールを開けたんだ。
そのロジナールを使って久々に「静止現像」をしてみた。
今回は「JCH STREETPAN 400」というコントラストが高めのフィルムに、コントラストが付き辛い「静止現像」をするとどうなるのか?
更に、静止現像をする意味についてもちょっと考えていこうと思う。
是非最後までご覧ください。
静止現像って?
「静止現像」というと、写真家の「木村伊兵衛」氏が使っていたことで一部の間では有名な現像方法。
一般的な現像は
- 現像液の温度を決め30秒~1分程初期撹拌
- フィルム毎の所定の現像時間まで、液温を管理しつつ30秒~1分毎に撹拌を繰り返す
- 停止
- 定着
- 水洗い
- 乾燥
という流れが一般的。
これが今回の「静止現像」だと、、、、
- 現像液の温度を決め30秒~1分程初期撹拌(現像液を入れてから初期撹拌をしない方法もあるらしい)
- 1+100程に薄めた現像液を、フィルムの種類に関係なく室温で60分~90分放置
- 停止
- 定着
- 水洗い
- 乾燥
と、現像工程で一番面倒臭い撹拌の工程をカットして、基本放置で現像してくれるという
「魔法の様な現像方法!!」
通常は現像液がフィルムの感光面の乳剤に触れる事で、現像が進行して行く、それが時間と共に現像能力が疲弊し、弱まっていくので新しい疲弊していない現像液に入れ替える為に撹拌を行う。
それが「静止現像」だと疲弊した現像液を入れ替えることなく、能力の限界まで使い切って現像するという事なんだ(かなりざっくり説明しているよ)
なんだ。
この魔法の様な「静止現像」なんだけど、勿論メリットもデメリットもある。
静止現像の効果、メリットデメリットって??
この静止現像は一般的に下記の効果があると言われている。
静止現像の効果
- 粒状性の改善
- 尖鋭度が高く出る(これはロジナール販売元ADOXが公式に否定している)
- ハイライトを押さえ、シャドーを持ち上げる
- イコライジング効果(補正)が高い
- ラチチュードが広く出る(軟調になる)
- 撹拌が無いので、毎回ある程度安定した結果が得られる
- 希釈率が高いのでコストが安く済む
- 途中の撹拌が無いのでとにかく楽
と、こんな所だろうか。
実際上記の効果についてははメリットでもあるんだけど、勿論デメリットも存在する。
静止現像デメリット
- 現像終了まで時間がかかる
- ロジナール等一部の現像液でしか使えない
- 希釈率が高いがゆえにいつまでたっても現像液が無くならない
- 放置時間が長すぎてたまに忘れる
- たまに現像ムラが出来る時がある(理論的にはムラにはなり辛いはずだけど出る時がある)
- 軟調になる
- ロジナールの場合元々粒子は大き目なので静止現像してもそこそこ粒子は大きいまま
実際、本家ADOXのRodinal公式ページでも尖鋭度(シャープネス)は静止現像では増加しないと書いてあるし、ロジナール自体がそもそもシャープネスが高く出る現像液なので、そのあたりは一般的に言われている事が本当なのかどうなのかは断言はできない所もある。
粒状性に付いても同様、元々ロジナールが粒状感は出やすい現像液ではあるし、この静止現像する事によって特に微粒子になった印象も特に無い。但し、粒状性については低温での処理をすると通常よりは改善する。
そして、ラチチュードが広く出る(諧調豊かに)やコントラストに付いても、ロジナール自体コントラストも余り付かない現像液なので、一般的な希釈1+25や1+50の撹拌現像と比べても、「これぞ静止現像だ!」とは余り感じない可能性もある。
これは、木村伊兵衛氏の時代のフィルムであれば、上記に書いた「シャープネス」「粒状性」「広いラチチュード」等も違いが顕著に出たのかもしれないが、今の技術で作られた現代のフィルムを使ってこの静止現像をする意味って正直余り無いのではないかな??と思っている。
まぁ、でもそんな事言ってしまうと終わってしまうので、まずは高コントラストのフィルム「JCH STREETPAN 400」と「ロジナール1+100静止現像」の作例を見て貰う。
ロジナール1+100静止現像作例
僕が大好きなフィルムの一つ「JCH STREETPAN 400」このフィルムはコントラストがかなり高めに出るフィルム。
1+100で60分間でも良かったんだけど、この日は室温も余り高く無かったので90分間で処理してみた。
今までの経験から言うと60分と90分の処理どちらでも特に問題は無いと思う。敢えて言うなら90分間現像するとややコントラストが高くなるかな?といった感じ。
2023年80本目のモノクロ自家現像。
- 使用カメラ:minolta V2
- 使用フィルム:JCH STREETPAN 400
- 使用現像液:ロジナール1+100 20℃ 90min放置(静止現像)
モノクロで最高にわかり辛いけど、12月なのに葉っぱはまだ緑で、額も色が残っているアジサイを見つけた
15:30位に川原の土手を散歩中に撮った逆光写真。
盛大にフレア、ゴーストが出ている。minolta V2は余り逆光には強くないね。
ショーウインドウの写り込み
ボウリング好きの人には申し訳ないけど、僕はボウリングが苦手。
誘われても断っちゃう
プラタナスの木の前で。
プラタナスの葉っぱは臭いらしいよ
相変わらずのドクロ。
たまたまこうなっているの凄いよね
最初はもっと暗めに露出するつもりだったけど、撮る直前に明るく撮る事にした。
結果良い感じになったと思う(何が良い感じかは自己満足だから良いんだ)
流石に12月になるといたるところにクリスマスツリーが
うねうね、ぐにゃぐにゃした松の木
12:00位の日が高い時間の逆光。
面白い感じに写った
作例の感想と、静止現像をする意味はあるのか?について
どうだろう?
まずいえるのはミノルタV2の写りが良いという事w
静止現像自体の感想としては、今までの「JCH STREETPAN 400」に比べると、確かにコントラストといった点ではやや抑えられていると思う。
それでも元々高コントラストなフィルムだから、それなりにコントラストも付いているけど、通常現像に比べると明らかにコントラストは落ちている。
このJCHストリートパン400でこうなんだから、他の中庸なフィルムを使うとかなり軟調になってしまうだろう。
ハイライトについては特段抑えられている感じはない、飛んでいる所はしっかり飛んでいるし、シャドー部分については確かに少し持ち上げられていると思う。
粒状性やシャープネスに付いてもまぁ、こんなもんだよね、、、といった感想。
先にも書いた通り、今この時代、現代のフィルムで静止現像する意味なんだけど、
- 現像液の消費を抑えてコスト削減したい
- フィルム毎に現像時間を考えたり、温度管理、撹拌するのが面倒
- メーカー、種類が違うフィルムも一緒に現像したい
- 軟調でも気にならない
こんな人以外は特に静止現像をする意味って余り無いような気がする。
勿論静止現像についての感想などは人それぞれだし、僕は静止現像の仕上がりがどうこうより、「楽したい」時にこの静止現像をチョイスする事が多い。
でも実際どうなんだろうね?
静止現像をやられている方々のブログなんかも色々見てみたけど、どこも「静止現像」ならではの、静止現像でしか得る事が出来ないメリットや特徴なんかを書いている所も無かったと思う。
それだけ現代の現像液や、フィルムの性能が良くなっているという事なんだと思う。
最後に
静止現像の現像データと、色々好き勝手に書いてきたけど、決して「静止現像」がダメな現像方法だとかは思っていない。
実際最初の30秒以外無撹拌、放置で現像出来てしまうというのはとっても便利だし、それだけで静止現像する意義はあると思う。
放置している60分~90分の間にコーヒー飲みながら、本でも読んでいればあっという間に過ぎちゃうし、なんだかんだ言って結構使わせて貰っている現像方法ではある。
偉そうに「メリット・デメリット」なんて書いたけど、はっきり言って
「余り気にせず、好きな現像方法を選んでOK」
じゃないかな。
趣味で写真を撮って現像している分にはそれくらいの気持ちで色々考えながら試して、遊んでみるのも面白いと思う。
ロジナールを使っている方で、静止現像興味がある方がいれば一度くらい試してみるのも良いんじゃないかな?
一度やってみて、自分に合っていると感じればこれ幸いである。
最後まで見て頂きありがとうございました。