【実験】2014年3月に開封済みの9年熟成「ロジナール」を使って静止現像してみた。

フィルムカメラ

こんにちは「kio」です。

いきなりタイトルで「2014年開封済み9年熟成ロジナール」とかいうワードでびっくりしたかもしれませんねw

今回は久々の【実験】シリーズです。

果たして結果は!!!!!!

是非最後までご覧ください。

最初に茶番劇ありますがお付き合い下さいw

~プロローグ~クローゼットの整理をしていたらそこには、、、

先日探し物をしていて普段殆ど触らないクローゼットを夜中にガサゴソしてたんです。

すると奥の方に1本のボトルがあるのを見つけました。

DSC_4062_TEMP

そのボトルは「ADOX ADONAL」、、、、

ここ1~2年程かなり手に入らなくなり、、いつもお世話になっているシルバーソルトさんでも2月中頃入荷の予定が、3月中頃に伸び、、、使いたくて使いたくてたまらなかった現像液。

そう、皆大好き、お馴染み「ロジナール」です。

しかも中身は結構パンパン入ってる。

「おっ?ロジナール??いつ買ったやつだ???ラッキー!!」

しかしボトルを見ると側面にマジックで何かが書いてあります。

2014年3/18日に開封を示す文字が、、、

その消えかかったマジックの文字は

「2014 3/18~」

すぐに理解しました、、、、

「これ開封済みだな、、、」

僕は使い始めた現像液のボトルにこんな感じで書くので見てすぐ理解しました。

2014年3/18開封という事は、約9年前。

9年の間クローゼットの薄暗い中で開封だけされ、少しだけ使われた状態で、そっとそこにいたんです。

「うわっ、、、9年前に一回開けたロジナールか、、、流石に無理だろ、、、、」

そのイソジンみたいな「濃い赤茶色」の液体のボトルを見て僕はそうつぶやきました、、、

しかも底には成分が結晶化して、なんか溜まっています、、、

しかし、つぶやいたのも束の間、

「んっ?でも殆ど使ってないから空気にもあまり触れて無いし、冷暗所で保管されてたなら使えるのでは????」

また悪いクセです、、

いや、もう病気でしょう。

この9年間も熟成された「ロジナール」で現像したい、

いや、しなければいけない!!!

そんな使命感にも似た強い衝動が沸き上がってきます。

そして、「スッ」と立ち上がり、僕は現像タンクを取りに行きました。

実験に使うフィルムの選定。

現像タンクを片手に何のフィルムで試そうか考えます。

ふと、辺りを見回すと「PENTAX645」に目が行きました。デカいからね

「このPENTAX645確かILFORD DELTA 400が年末位から入っていたな、、、」

そう思い645を手に取り、カウンターを見ると13。

「不吉な数字だ、、、」

フィルムはあと2枚だけ残っています。忘れてた

「ニヤリ」

笑みを浮かべ、カメラを手に庭にいる愛犬の元へ向かいました。

2014年に開封済み9年熟成ロジナールで現像。

という事でこんな感じで2014年開封済みのロジナールで現像してみる事になったんですねw

なんか最後の文の「ニヤリと笑みを浮かべ、カメラを手に庭にいる愛犬の元へ向かいました。」とか完全に悪い事しに行くやつな感じですよねww

長々と書きましたが、簡単に言うと

「おっ!古いロジナール見つけた!開いてるけど使えんじゃね?使ってみよ~」

という事ですw

そして、ロジナールと言えば、「長期保存可能」な事が有名なんです。

実際に100年前のロジナールで現像した強者もいるみたいです。

但しその長期保存の条件が

  • 未開封で空気に触れていない
  • 紫外線にさらされていない
  • 高温多湿の場所に置いておかない

が条件。

しかし、今回のロジナールは、開封済みではありましたが、発見した時は空気は完全に抜いてあり、ボトルキャップもしっかり締まっていて、クローゼットという暗くて、温度、湿度もある程度安定した場所置いてあったので使えると判断しました。

ボトルの空気を完全に抜いて、クローゼットに安置した9年前の僕グッジョブです!!!

そして、今回試す事にした現像方法は「静止現像」

次は静止現像について少しだけ。

静止現像とは?

一般的な小型タンクでの現像方法と言えば、このサイトでも紹介している「倒立撹拌現像」ですが、静止現像というのは撹拌をしない現像方法なんです。

正確には初期撹拌のみでその後は放置。

しかも通常のロジナールの現像液の希釈率は1+50か1+25辺りが普通なのですが、この静止現像は驚異の1+100。

ほぼ水です!(それは違う)

そのほぼ水の様な希釈率の現像液を使い初期1分のみ撹拌してその後60分室温で放置するというズボラで手抜き革新的な現像方法なんですね。

かの有名な日本の写真家「木村伊兵衛」氏もこの静止現像やっていたとかいなかったとか、、、

ともかく物凄くらくちんな現像方法。

静止現像の効果については色々ありますが、ISO100でも400でも、アクロスでもフォマパンでも同じタンクで60分で現像出来ちゃうんです。

しかも1+100という事は120フィルム1本でパターソンタンクで使う液量500mlだと、ロジナール現役は僅か5ml、、、

思い出しました、、、当時も静止現像やっていて新ボトル開けたばかりのタイミングで引っ越しがあり、暫く自家現像から離れていたんだ、、、、

まぁ、そこらへんは置いておいてその静止現像をしてみる事にしました。

熟成ロジナール静止現像の結果は??

早速実験結果。

2023年18本目の自家現像

アドックス アドナル(ロジナール)1+100 20℃ 60min

初期撹拌として、撹拌棒にてゆっくり1分撹拌

その後60minまでエアコンが効いた室内放置。

あとは通常のモノクロ現像と同じ処理。

スキャン、データ化無補正。

雪の結晶のぴかぴか光るやつ。
公園の大きな木。ピントは木にあってるんだけど、風で揺れてちょっとブレた感じに見えます、他の動かない物はばっちり。
スタバにて。あっ、大きな糸くず見たいの入ってる、、、
コーヒータイム。
巨大な赤べこ、こんなの迄マスク付けられてる、、
鼻の頭ハゲとる、、掻いたのかな?
どんな感情なのかw証明写真みたいw

その後すぐ2023年19本目の自家現像を同じロジナール、静止現像20℃60minで処理しました。

カメラはTopcon 35-S

フィルムはフォマパン200

わずかにムラっぽくなってる気もします。空の粒子感は大きくザラっと出てます。
柿の木。
雨上がりのブランコ。
窓からの光を受けたスツール。
光の加減と合わさり、物凄く柔らかい描写に
梅の花も大分咲いてきましたね。しかしこれもシャープだな、、、
この子は僕が近づいても逃げない貴重なネコちゃん。ギャラとして今度ちゅーるあげよう。
アスファルトも猫の毛並みもシャープ。
何故か寒いのにアイスコーヒー飲んでる、暖かかったのかな?
「ドフ」の青箱漁り。

【実験結果】開封後9年が過ぎたロジナールは普通に使えた。

実験結果ですが、、、

写真を見て頂いた通り、問題無く使えましたw

ロジナールは保存性が良いとは聞いてはいましたが、開封して9年過ぎても普通に使えるのはちょっとびっくり、、、

この結果をTwitterで呟いたら、案外皆様、驚かなかった様で、

「普通に使えますよね~」

という反応でしたw

これはロジナールならではですね、、、他の現像液ではこうはいかないと思います。

そして、ロジナールの特徴である

  • 粗めの粒子感
  • シャープネスが高い

これらもしっかり感じられます。

しかし、静止現像には弱点も

  • コントラストが上がり辛く、軟調になる。

という特徴も持っています。

以前静止現像していた時は、この軟調具合が余り好きでは無かったんですけど、645の方は中判だからなのか、軟調気味ではありますが、僕のイメージにある静止現像とはまたちょっと違う雰囲気。

そのあとの35mmのフォマパン200はしっかり軟調ですね、「これこれ~」という感じw

粒子感も中判より35mmの方が荒ぶった感じがよくわかりますね、そしてどっちもシャープネスは高いです。

因みにこのシャープネスが高いのは「ロジナール」の特徴であって、静止現像したからと言ってシャープネスは高くはならないそうです(シルバーソルトさん情報)

最後に

2014年3/18日に開封済みの「9年熟成ロジナール」を使って静止現像してみました。

ここ2年程ロジナールは入手困難となっていて、一応次回入荷が3月中頃とはなっていますが、その後の安定供給があるのかどうか定かではありません。

このタイミングで使えるロジナールが手に入ったのはとてもラッキーですね。

勿論ロジナールは静止現像だけでは無く、1+50や1+25での通常の倒立撹拌での現像もあります、というか「静止現像」が特殊なんですけどね。

通常の倒立撹拌ではちゃんとコントラストもついたネガが出来るので、そちらの方も使えると思うと嬉しいですね。

あっ、古い現像液を使う時は「失敗してもいいや」という気持ちで試してくださいね、この記事を見て古い現像液を使ってフィルムダメにしてもクレームは一切受け付けませんww

最後まで見て頂きありがとうございました。

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